「手数料率 37.0%」——あるオンライン講師が、プラットフォームから受け取った明細に残していた数字です。本人も「最も高い手数料率が適用された」と書いている極端なケースですが、レッスン代の4割近くが手元に届く前に引かれることは、実際に起こります。
集客をプラットフォームに任せるのをやめ、受講生と直接やり取りすれば、この手数料は確かに下がります。ただし下がるのは手数料だけです。空き枠の提示・日程の確定・入金の確認という「プラットフォームが代わりにやっていた仕事」は、そのまま自分に戻ってきます。この記事では、単発・都度払いでレッスンを提供している個人講師を対象に、主要プラットフォームの実際の料率、直接契約で増える作業、損益分岐、そして直接契約で失うものまでを、実際の数字で確認していきます。
個人・小規模チームの予約運用全般は、個人・小規模チーム向けリソース集にまとめています。
目次
手数料は「率」ではなく「1回の振込額」で効いてくる
まず、公開されている料率を確認します。ストアカでは、受講生がプラットフォーム上で見つけて申し込んだ場合の販売手数料が20〜30%、講師自身が集客して申し込んでもらった場合は10%です(出典: ストアカ「料金・手数料」、2026年7月時点、対象はストアカのみ)。
一方、MOSHの通常プランはカード決済で6.5% + 99円/件(税込)、銀行振込で3.0% + 99円です(出典: MOSH「料金プラン」、2026年7月時点、月間100万円以上の利用は個別料率のため対象外)。
率だけを並べると、6.5%は20%よりはるかに安く見えます。ただしこの「+99円」という固定額は、受講料が小さいほど重くのしかかります。1件あたりいくら引かれるかに直すと、同じ料率でも実効率はまったく違う数字になります。
| 受講料(1回) | 6.5%分 | 固定額 | 合計 | 実効率 |
|---|---|---|---|---|
| ¥1,000(体験) | ¥65 | ¥99 | ¥164 | 16.4% |
| ¥3,000 | ¥195 | ¥99 | ¥294 | 9.8% |
| ¥5,000 | ¥325 | ¥99 | ¥424 | 8.5% |
| ¥8,000 | ¥520 | ¥99 | ¥619 | 7.7% |
低価格の体験レッスンほど、手数料の実効率は上がります。集客のために体験価格を下げるほど、1件あたりの取り分は想定より細くなる、という関係です。手数料を比べるときは、率ではなく「自分の主力メニュー1回で、いくら引かれるか」に直してから並べてください。
直接契約に移すと、プラットフォームの仕事が自分に戻る
手数料が下がるなら直接契約に移せばよい、という話にはなりません。実際に直接契約を検討した講師は、必要になる準備をこう書いています。
「自分の空き時間を学習者さんに予約してもらうためのカレンダーアプリや予約画面の設定も必要です。」
さらに、レッスン後の事務についても記録があります。
「このような請求・入金確認作業は、数が少なくても正確に行うためにそれなりの手間がかかります」
注目したいのは「数が少なくても」という部分です。件数が少ないうちは自動化しなくても回る、という直感とは逆で、件数が少なくても、正確さを保つ限り手間は一定量かかります。プラットフォームが引いていた手数料は、消えるのではなく作業に形を変えます。
| これまで担っていたもの | 直接契約後の担当 | 放置すると起きること |
|---|---|---|
| 新規受講生の集客 | 自分 | 継続受講生が減った分を補充できない |
| 空き枠の提示と日程確定 | 自分 | メッセージの往復が増え、二重予約が起きる |
| 受講料の回収と入金確認 | 自分 | 未入金に気づかないまま実施してしまう |
| トラブル時の仲介 | 誰もいない | 当事者同士で解決するしかない |
損益分岐は「月何コマ」で決まる

実際に計算します。受講料¥5,000、月8コマ、これまでストアカ経由(集客あり・20%)で受けていた場合を例にします。
- プラットフォーム経由:¥5,000 × 20% = ¥1,000/件 → 月¥8,000
- 直接契約:かかるのは決済代行の手数料のみ。Stripeの標準料率を約3.6%とすると¥180/件 → 月¥1,440
- 差額:月およそ¥6,560、年間で約¥78,700
年間8万円弱は、個人で活動する講師にとって小さくない額です。ただしここに、直接契約で戻ってきた事務作業の時間を入れる必要があります。日程調整のメッセージ往復、請求、入金確認を手作業で行うと、1件あたり10〜15分は消えます。月8件なら1時間20分〜2時間です。
この時間を自分のレッスン単価(¥5,000/時と仮定)で評価すると、月¥6,600〜¥10,000。手作業のままでは、浮いた手数料はほぼそのまま事務時間に置き換わります。直接契約が得になるかどうかは、手数料の差ではなく、その事務を自動化できるかどうかで決まります。
逆に言えば、予約の確定と受講料の回収が自動で終わるなら、差額の大半はそのまま手元に残ります。判断すべきは「直接契約にするか」ではなく「直接契約を自動で回せるか」です。
単発・都度払いに必要な機能は4つだけ
都度払いのレッスンに絞ると、必要な機能は多くありません。次の4つが揃っていれば、日程調整と回収は自動で回ります。
- 空き枠をURLひとつで見せて、その場で確定できる——カレンダーと連動し、二重予約が起きないこと
- 予約と同時に受講料を回収できる——都度払いに対応し、実施前に決済が完了すること
- ビデオ会議のURLが自動で発行・共有される——予約確定メールに含まれること
- リマインドと、変更・キャンセルが自動で処理される——受講生が自分で日程を変えられること
この4つで足りるのは、単発・都度払いで売っている場合だけです。月謝制の固定枠や回数券の残数管理、自社サイトへの埋め込みが必要なら、教室運営の管理システムの領域になります。道具を比べる前に自分が月謝型か都度払い型かを決めておくと、選定はぐんと短く済みます。
そのうえで、手数料の構造を必ず確認してください。「プラットフォーム手数料」と「決済代行の手数料」は別物です。前者が0%でも、カード決済を使う限り後者は必ずかかります。両方を合計した「1件あたりいくら引かれるか」で比べないと、乗り換えた後に想定と合わなくなります。
以下では、この4つをすべて満たすツールの一例として、SailLab を取り上げます。
SailLab(セイルラボ)

SailLab は、予約ページ・事前決済・ビデオ会議URLの発行を1つにまとめた国産の予約システムです。都度払いのレッスンを想定した構成になっています。
- 予約ページのURLを1本送るだけで、受講生が空き枠から選んで確定できます(Google・Outlookカレンダーと同期)
- レッスン時間ごとに受講料を設定でき、予約と同時にカード決済で回収できます
- Zoom・Google Meet・Teams のURLが予約確定時に自動発行され、確認メールに含まれます
- リマインドメールと、受講生自身による日程変更・キャンセルに対応しています
使い分けの例としては、次の2枚を用意する形が現実的です。
- 体験レッスン用ページ:¥1,000の事前決済つき。無断キャンセルを抑えつつ、申込のハードルは低く保つ
- 継続受講者用ページ:通常料金で、リマインドと日程変更を自動化する
| プラン | 月額(税抜) | 受講料の回収 | SailLabの手数料 |
|---|---|---|---|
| Free | ¥0 | — | — |
| Light | ¥1,000 | — | — |
| Standard | ¥1,500 | ◯ | 3% |
| Professional | ¥2,800 | ◯ | 0% |
受講料の回収は Standard 以上の機能です。プラットフォーム手数料は Standard が3%、Professional は0%——Professional なら引かれるのは Stripe の標準決済手数料だけで、レッスン代の何割かが差し引かれることはありません(2026年7月時点。プランの詳細は料金ページを参照)。
ただし、この記事の考え方はそのまま SailLab にも当てはめてください。比べるのは料率ではなく、月額と手数料を足した合計額です。回収額が月10万円を超えるあたりからProfessionalのほうがはっきり安くなりますが、月5万円前後では両プランの差はわずかで、Standardでも十分です。単発・都度払いのレッスンを、自分の価格のまま届けたい講師に向いたツールです。
直接契約で失うものと、その埋め方

直接契約には、手数料と引き換えに失うものがあります。ここを踏まえずに全部を切り替えると、数か月後に新規が止まります。
最大の損失は集客です。プラットフォームは検索や一覧から新しい受講生を運んできます。予約システムはこれを代替しません。もう一つは仲介です。直接契約を経験した講師は、こう書いています。
「何か問題やトラブルが起きても誰も介入してくれません。」
現実的な解は、どちらかを選ぶことではなく併用です。新規の入口はプラットフォームに残し、2回目以降を自分の予約ページに移す形にすると、集客は保ったまま手数料の総額は下がります。ストアカが自己集客の場合に10%と料率を分けているのは、この使い分けが前提にあるためです。
3つの選択肢を、判断材料ごとに並べると次のようになります。
| プラットフォーム継続 | 併用 | 直接契約のみ | |
|---|---|---|---|
| 手数料 | 高い(10〜30%) | 中(新規のみ課金) | 低い(決済手数料のみ) |
| 新規集客 | 任せられる | 任せられる | 自分で用意する |
| 予約・入金の事務 | ほぼ不要 | 継続分のみ自分 | 全部自分(要自動化) |
| トラブル時の仲介 | あり | 新規のみあり | なし |
| 向いている人 | 集客を伸ばしたい段階 | 継続受講生がいる | 集客経路が別にある |
海外の受講生を持つ場合は、時差の扱いも判断材料になります。詳細は英語対応の予約ページの作り方にまとめています。
判断チェックリスト

ここまでの内容を、そのまま判断に使える形に落とします。
- 主力メニュー1回あたり、いま「何円」引かれているかを計算した
- その額に、体験レッスンなど低単価メニューの実効率も含めた
- 月謝・回数券・埋め込み・校舎管理のいずれも必須ではないと確認した
- 日程調整と入金確認を自動化できる見込みがある(手作業のままなら差額は消えます)
- 新規集客をどこで担うか決めた(併用するなら、どのタイミングで移すか)
- プラットフォーム手数料と決済代行手数料を分けて比べた
上の4つまでに「はい」と答えられるなら、直接契約への切り替えは金額として見合います。事前決済で無断キャンセルを抑える設計は事前決済つき予約システムの記事で、オンライン講師向けの活用例はオンライン講師の予約ページで扱っています。
まずは体験レッスン用のページを1枚だけ作って試す場合は、無料アカウントから作成できます(クレジットカード登録は不要です)。