税理士・社会保険労務士・行政書士・弁護士など、相談を受けて報酬をいただく仕事では、オンライン相談を仕組み化しようとすると、たいてい途中で止まります。予約ページは作れても、相談料をいつ・どうやって受け取るかが相手によって違い、1つの予約フォームに収まらないからです。
これから行政書士として開業する方に向けては、登録の手続きと、最初の1年の相談の受け方を行政書士の開業の記事にまとめています。税理士として開業する方には、最初の顧問先がどこから来るかを税理士の開業の記事で数字とあわせて見ています。
士業の相談相手は、支払いの観点で見ると「初回の個人客」「法人・単発の相手」「顧問先や既存客」の3種類に分かれます。それぞれ相談料を受け取る自然なタイミングが違う――ここが、日程調整だけのツールや汎用フォームでは設計しづらい理由です。本記事では、この3種類をどう予約ページに落とすか、機密性と事前ヒアリングをどう担保するか、そしてツールを見比べるときの5点と採算の考え方を、士業の実務に沿って解説します。
目次
相談・面談ビジネスの予約設計を広く見直したい方は、サービスビジネス向けリソース集もあわせてご覧ください。
予約フォームを置くだけでは相談料が漏れる
オンライン相談を始めるとき、多くの事務所はまず予約フォームやカレンダーを用意します。ところが、予約と相談料の集金が別々のままだと、次の3か所で取りこぼしが起きます。
とくに痛いのが3か所目の未回収です。対面なら相談の最後に現金でいただけますが、オンライン相談ではその場で集金できません。「後で振込をお願いします」と伝えたまま入金されず、催促もしづらい――この状態が積み重なります。
そもそも士業の相談相手は、すでにオンラインで手続きを完結させる層です。所得税の確定申告では、オンライン(e-Tax)による申告の利用率が69.3%に達しています(出典: 国税庁「令和5年度におけるオンライン(e-Tax)手続の利用状況等について」、2025年5月公表、所得税申告のオンライン利用率)。相談者や顧問先の側は、予約も支払いもオンラインで済ませる準備がすでにできています。仕組みが追いついていないのは、多くの場合こちら側です。
相談料は「相手のタイプ」で受け取り方が変わる
解決の起点は、集金を1つの方法に統一しようとしないことです。士業の相談相手を支払いの観点で分けると3種類あり、それぞれ無理なく確実に受け取れるタイミングが違います。
| 相談相手 | 向いている受け取り方 | 解決する取りこぼし |
|---|---|---|
| 初回・新規の個人 | 事前決済(予約時にカード決済) | 無断キャンセル |
| 法人・カードを使わない相手 | 請求書払い(後払い) | 相談料の未回収 |
| 既存客・顧問先 | 面談後に請求(Stripe・銀行振込) | その場の集金の手間 |
初回の個人客に事前決済が効くのは、支払い済みの予約が「仮の予定」でなくなるからです。日本のキャッシュレス決済比率は2024年に42.8%(141.0兆円)となり、政府目標の4割を前倒しで超えています(出典: 経済産業省「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」、2025年3月31日公表)。ネットで相談を予約する相手にとって、そのままカードで支払うのはすでに標準的な体験です。
タイプ別・相談予約ページの作り方
3種類の受け取り方は、予約ページ(相談メニュー)ごとに別々に設定するのが基本です。相手は自分に合ったページから予約するだけで、集金は自動的に正しいタイミングで動きます。士業の相談料の相場(スポット相談で30分5,000円〜、1時間1万〜2万円程度)を踏まえると、たとえば次のように組めます(出典: freee「税理士の相談料、相場はいくら?」、2026年7月時点の一般的な相場)。
| 予約ページ | 対象 | 受け取り方の設定 |
|---|---|---|
| 初回相談ページ | 新規の個人 | 30分¥5,000の事前決済。予約と同時にカード決済 |
| スポット相談ページ | 法人・単発の相手 | 予約時に請求書を発行(後払い)。期限内に未払いなら自動でキャンセル |
| 顧問先ページ | 既存客・顧問先 | 面談後にまとめて請求(Stripeまたは銀行振込) |
この分け方には副次効果もあります。新規の個人には事前決済でハードルとして機能させつつ、信頼関係のある顧問先には「その都度の集金」という手間をかけない。相手との関係性に、集金の仕方を合わせられるわけです。顧問料そのものの月次請求は会計側で行うとしても、スポットの相談や単発の面談は、この予約ページ側で受け取りまで完結できます。
士業だから外せない3条件
支払いの設計と並んで、士業では機密性と事前準備が要件になります。相談内容には秘匿性の高いものが多く、当日その場でヒアリングを始めると、限られた相談枠が短くなります。予約システム側で担保したいのは、次の3点です。
とくに事前ヒアリングは、準備不足を直接なくします。相談の背景・希望・関連する書類の有無を予約時に把握できれば、当日はいきなり本題に入れて、限られた枠の密度が上がります。フォームの回答は予約情報と一緒に残るため、面談前に見返すのも簡単です。
受け取り方を分けられないツールは、ここで外れる
相談料の受け取り方を予約ページごとに変えられるか――多くのツールはここで候補から外れます。次の5点を同じ物差しで当てれば、比較はぶれません。
- 受け取り方を分けられるか: 事前決済・請求書払い(後払い)・面談後請求を、予約ページごとに設定できるか
- 相談メニューを作れるか: 初回相談・スポット・顧問など、種別ごとに料金と時間を変えられるか
- 担当者を指名できるか: 複数名の事務所で、相談者が担当者を選べるか
- 事前ヒアリングができるか: 予約時にカスタムフォームで相談内容を収集できるか
- 手数料の構造: 月額に加えて売上から手数料を取られないか(相談を受けるほど、月額より手数料のほうが重くなる)
以下では、この5つのポイントをすべて満たすツールの一例として、SailLab を取り上げます。
SailLab(セイルラボ)

SailLab は、日程調整・予約受付と決済を1つにまとめた国産の予約システムです。相談メニューの作成から、種別ごとの料金・時間の設定、3種類の受け取り方、担当者の指名、事前ヒアリングまで、本記事で挙げた5つのポイントを標準機能でカバーしています。
- 3つの受け取り方: 事前決済(Stripe 連携)、請求書払い(後払い・期限内に未払いなら自動キャンセル)、面談後に請求(Stripe または銀行振込)。予約ページごとに使い分けられます
- 相談メニュー: 「初回相談30分¥5,000」「スポット相談60分¥15,000」のように、種別ごとに料金と時間を設定できます
- 担当者指名: 複数名の事務所では、相談者が担当を選べます。指名料の設定にも対応します
- 事前ヒアリング: カスタム受付フォームで、相談内容や状況を予約時に収集できます
- 機密性: 予約ページの限定公開、確定後に場所を表示する設定、日本語・英語の両対応
| プラン | 月額(税抜) | 相談メニュー・決済 |
|---|---|---|
| Free | ¥0 | ― |
| Light | ¥1,000(年払いで月あたり¥800) | ― |
| Standard | ¥1,500(年払いで月あたり¥1,200) | ○ |
| Professional | ¥2,800(年払いで月あたり¥2,240) | ○ |
相談メニューと決済(事前決済・請求書払い・面談後請求)、担当者指名に対応しています。決済には、Stripeの標準決済手数料とSailLabの手数料がかかります。金額は料金ページに掲載しています。プランの詳細は料金ページを参照)。相談料を確実に受け取りながら、相手ごとに集金の仕方を変えたい士業事務所に向いたツールです。
相談1件の取りこぼしが、月額を上回る
導入判断は、自分の数字で確かめられます。月に20件の有料相談(1件¥15,000)を受けていて、無断キャンセルや未回収でそのうち5%を取りこぼしているとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月の有料相談(20件 × ¥15,000) | ¥300,000 |
| 取りこぼし5%(=月1件) | ▲¥15,000/月(年¥180,000) |
| 予約システムの月額 | ¥1,500 |
月1件の取りこぼしを防ぐだけで、費用の10倍が戻る計算です。事前決済や面談後請求では「防ぐ」以前に売上が確保・回収されるため、実際の効果はこの見積もりより大きくなります。単価と件数をご自身の事務所の数字に置き換えて確認してみてください。
最初に作るのは、初回相談ページ1枚
士業のオンライン相談が仕組みにならないのは、相談相手が3種類いて、相談料を受け取るタイミングがそれぞれ違うからです。事前決済・請求書払い・面談後請求を予約ページごとに分けて設計すれば、相手は自分に合ったページから予約するだけで、集金は自動的に正しく動きます。
一度に全部を移す必要はありません。下の順に進めれば、既存客との関係を保ったまま移行できます。
| 順番 | 用意するもの | なくなる取りこぼし |
|---|---|---|
| 1 | 初回相談ページ(事前決済) | 新規相談の無断キャンセル |
| 2 | 事前ヒアリングのフォームを追加 | 当日の準備不足 |
| 3 | 顧問先・法人用ページ(面談後請求・請求書払い) | その場の集金の手間 |
無断キャンセル対策の詳細は事前決済つき予約システムの解説、複数名の事務所での担当者指名は担当者を指名できる予約システムの解説で扱っています。士業向けの相談予約ページは、無料アカウントから作成できます。クレジットカード登録は不要です。
田口 奈津子 / SailLab 編集部
SailLab 編集部で、予約受付・事前決済・無断キャンセル対策や、教室とレッスンの運営など、対面とオンラインでサービスを提供する事業者向けの記事を担当しています。