40歳未満で事務所を開いている税理士は、開業税理士全体の3.3%です。日本税理士会連合会(日税連)が2024年4月に行った第7回税理士実態調査では、開業税理士の年齢は60歳代が28.9%、70歳代が27.0%、80歳以上が6.5%で、60歳以上が6割を超えています。[1]報告書そのものは会員向けに公表されたもので[2]、この記事の数字は、その集計を紹介した会計事務所向けの記事によります。
これから開業する税理士は、年齢では少数派です。それは不利というより、いま顧問先を抱えている事務所の多くが、これから引き継ぎの時期に入るということでもあります。この記事では、登録と入会の費用を実額で確かめたうえで、開業するかどうかの判断、最初の顧問先がどこから来るか、必要な顧問先の数、相談の受け方までを、公表されている数字と開業した税理士の声から考えます。
この記事の結論
税理士の開業は、登録(勤務からなら変更登録)と税理士会への入会で始められ、東京なら登録と入会の費用で約29万〜31万円かかります。開業税理士の6割超が60歳以上で、税理士を変えた経営者は顧問料の安さより相談しやすさで選んでいます。最初の顧問先は紹介会社や紹介、ホームページの相談から来るので、すぐ相談を受けられる窓口を先に作ります。
目次
士業の相談を予約で受ける考え方は、サービスビジネス向けリソース集にまとめています。この記事は公表されている資料と法令の内容を紹介するもので、個別の判断についての助言ではありません。
開業税理士の年齢から見える機会
開業を考えるとき、最初に気になるのは「もう顧客は取り尽くされているのではないか」という点です。登録者の数と年齢を見ると、顧客が足りないというより、顧客を持つ人が入れ替わる時期にあることが分かります。
登録者は8万2,682人
日税連によると、2026年9月末の税理士登録者は8万2,682人、税理士法人の届出は主たる事務所で5,346です。[3]このうち、自分の事務所を開いている開業税理士、税理士法人の社員税理士、事務所に勤める所属税理士の3つの立場があり、開業はその1つです。
登録者のうち東京税理士会が2万4,841人、近畿税理士会が1万5,655人で、この2つで全体の約5割を占めます。[3]東京や大阪で開業する人は、同じ地域の税理士の数が多いことも前提にしておきます。
若い開業が少ない
第7回実態調査には3万8,607件の回答があり、回答率は44.8%でした。[1]開業税理士の年齢を分けると、20歳代は0.1%、30歳代は3.2%、40歳代は13.7%、50歳代は20.2%です。同じ調査で所属税理士を見ると、30歳代が18.1%、40歳代が30.2%で、勤めている税理士は若く、開業している税理士は年齢が高いという形がはっきりしています。
| 年齢 | 開業税理士 | 所属税理士 |
|---|---|---|
| 30歳代以下 | 3.3% | 19.6% |
| 40歳代・50歳代 | 33.9% | 53.6% |
| 60歳代 | 28.9% | 15.6% |
| 70歳以上 | 33.5% | 11.0% |
税理士全体で見ても、20歳代と30歳代を合わせた割合は、2004年の第5回の11.5%から、2024年の第7回では6.6%に下がっています。[1]
引退する事務所の顧問先はどこへ行くか
開業税理士の3人に1人が70歳以上ということは、これから10年で、多くの事務所が引退か引き継ぎを迎えるということです。所長が引退すると、顧問先は事務所ごと別の税理士や税理士法人に引き継がれるか、それぞれの会社が新しい税理士を探します。
開業する側には2つの道があります。1つは、引退を考えている事務所から顧問先ごと引き継ぐ形で開業することです。もう1つは、自分で新しく開業し、税理士を探し始めた会社から選ばれることです。どちらの場合も、経営者が何を基準に次の税理士を選ぶかが、開業の成否を分けます。では、開業までに何が要るか。手続きと費用から確かめます。
登録から開業までの手続きと費用
税理士として開業するには、税理士名簿への登録と、事務所の地域の税理士会への入会が要ります。勤めている税理士が開業するなら、新しく登録するのではなく変更登録になります。
新規登録と変更登録
税理士法第3条は、試験に合格した人や試験科目の全部を免除された人に、税や会計の事務に通算2年以上従事した経験を求めています。[4]条件を満たした人は、事務所の所在地の税理士会を通じて登録を申請します。すでに所属税理士として登録している人は、登録した事項が変わるので、開業する時点で変更の登録を申請します(第20条)。[4]勤めながら独立の準備を進める人は、いつ変更登録を出すかを、勤め先を辞める日と合わせて決めておきます。
申請の書類は税理士会によって追加の書類や部数が違うため、日税連は、申請書を準備する前に提出先の税理士会のウェブサイトで確かめるよう案内しています。[5]
登録と入会の費用、2027年4月の改定
登録の申請には、登録免許税6万円と登録手数料がかかります。登録手数料は、2027年3月31日までに納めるものは5万円、2027年4月1日以降に納めるものは7万円です。登録免許税は、2025年6月30日からマイナポータルを通じてクレジットカードでも払えるようになりました。[5]
税理士会への入会の費用は会ごとに違います。東京税理士会の案内(2024年4月時点)では、次のとおりです。[6]
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 登録免許税 | 60,000円 |
| 登録手数料 | 50,000円(2027年4月以降は70,000円) |
| 入会金 | 40,000円 |
| 会費(1年分) | 81,000円(月6,750円) |
| 会館建設費 | 20,000円 |
| 支部会費 | 36,000〜60,000円 |
| 合計 | 287,000〜311,000円 |
会費は入会した月から年度末までの分を払うので、年度の途中で入会すれば初年度は少なくなります。会館建設費は、以前に同じ会に入っていて負担した人は重ねて払う必要がありません。[6]東京以外で開業する人は、入る予定の税理士会の案内で金額を確かめます。
事務所、ソフト、資金
税理士は税理士業務を行う事務所を設けなければならず、税理士事務所を2つ以上設けることはできません(税理士法第40条)。[4]職員を置かずに1人で開業することもでき、自宅を事務所にすることもできますが、顧問先との面談をどこで行うか、書類をどこに保管するかは先に決めておきます。税理士には業務で知った秘密を守る義務があるため(第38条)、家族と共用の部屋で書類を広げる形は避けます。
このほか、会計ソフトと電子申告の環境、税理士職業賠償責任保険、ホームページ、名刺などに費用がかかります。開業直後は売上が立つまでに時間がかかるので、生活費と事務所の経費を数か月分見込んでおきます。後で紹介する開業した税理士の中には、創業融資で開業したうえで、半年後に追加で借りた人もいます。
開業届と青色申告
個人で開業する税理士も、ほかの事業者と同じく税務署に開業届を出し、青色申告にするなら承認の申請もします。開業届の期限は「開業から1か月以内」と説明している記事もありますが、国税庁の現在の案内とは異なります。期限の整理はピラティス教室の開業の記事に、国税庁の案内とあわせてまとめました。費用が見えたら、次は開業するかどうかの判断です。
開業するか、勤めを続けるか
開業した税理士が実際に何を書いているかを、良かった面と大変だった面に分けて見ます。判断の材料は、収入の見込みより、最初の1〜2年をどう過ごすかにあります。
開業した人が書いていること
開業して3年目に入った税理士のとむKさんは、開業時のことを「開業時に軌道に乗るまで2年は覚悟してましたが、乗ったのかは良く判りません とりあえず生きてはいけるかなと。」と振り返っています。[7]派手な成功談ではなく、2年は軌道に乗らない前提で始め、3年目に「生きていける」と感じるという時間の感覚は、開業を考える人にとって現実的な目安になります。
勤め先を離れた理由として、税理士法人の社員税理士という立場の難しさを挙げる人もいます。税理士・行政書士の小西裕也さんは、前の事務所で社員税理士になった経験について、出資はわずかで「無限責任を負い」、「役員報酬は従来の給与と変わらず」だったと書き、「社員税理士にはならない方がいい」としています。本人も「これはn=1の実話」と断ったうえでの話です。[8]
開業前に覚悟しておくこと
大変だった面で多く書かれているのは、お金と、税務以外の仕事です。開業税理士のYCさんは、開業前に一番不安だったのは孤独だったが「実際に困ったのは、資金繰りでした。」と書き、「創業融資300万円で開業して、半年後に200万円を追加で借りています。」と金額まで明かしています。[9]
岡山で独立したわったん税理士さんは、開業から1か月で感じたこととして「税務以外にも「初めて」が本当に多いこと。」を挙げ、前の事務所からの会計データの移行、銀行、保険、請求の仕事を例にしています。[10]勤めていたときは事務所が代わりにやっていた仕事が、すべて自分に来るということです。
もう1つ、勤めに戻れば良いという考え方に釘を刺す声もあります。ワニプレ税理士さんは「「税理士で開業して失敗しても、勤務に戻ればいいや」この考えの危険性、理解できてますか?」と書いています。開業に失敗して勤めに戻った人は、もう開業に挑む可能性が低いため、雇う側からすると「扱いやすい存在」になるという指摘です。[11]
判断の基準
こうした声から、開業の判断に使える物差しを3つ取り出せます。
| 確かめること | 開業に向く状態 |
|---|---|
| 2年分の資金 | 売上が少ない期間を、借入を含めて2年見込める |
| 最初の受注の当て | 紹介会社、知人、前職との業務委託など、少なくとも1つの経路がある |
| 税務以外の仕事 | 請求、入金の確認、相談の日程調整を自分で回す時間と仕組みがある |
3つ目は軽く見られがちですが、1人の事務所では、相談の日程を決めるやり取りや請求の作業が、そのまま税務の時間を削ります。開業すると決めたら、最初の顧問先をどこで見つけるかです。
最初の顧問先はどこから来るか
開業1年目の顧問先は、どの経路からどれくらい来るのか。公表された統計はありませんが、開業した税理士が自分の1年間の受注を数えて公開している例があります。経路は1つに頼らず、複数を同時に動かすのが基本です。
1年目の受注の内訳
2025年4月に開業した税理士のうららさんは、2025年4月から2026年3月までの受注の経路を次のように公開しています。[12]
| 経路 | 件数 |
|---|---|
| 紹介会社 | 5件 |
| ホームページ | 2件 |
| 会計ソフトの会社(弥生) | 1件 |
| 知人などからの紹介 | 1件 |
| 合計(スポットを含む、業務委託を除く) | 9件 |
うららさんは、前の職場からの業務委託を10月まで続けながら、夏ごろから営業を始め、「最初は吟味せず練習兼ねてガシガシ面談してました」と書いています。[12]1人の1年分の数字なので一般化はできませんが、9件の半分以上が紹介会社から来ていること、そして面談の数をこなしたことは、1年目の動き方の参考になります。
紹介会社を使う場合は、紹介料をいつ、どのように払うのか(成約したときに一度だけか、契約が続く間か)と、紹介された会社との面談の段取りを、登録の前に確かめておきます。面談の日程を自分で素早く出せるかどうかで、紹介された会社がほかの税理士に流れるかどうかが変わります。
税理士を変える経営者は何に不満を持っているか
新しく開業した税理士の顧問先には、創業したばかりの会社のほか、いまの税理士を変えたい会社が多く含まれます。小谷野税理士法人が、過去3年以内に税理士を変えたか、変えることを考えている経営者・役員325人に聞いた調査では、いまの税理士への最大の不満は「レスポンスが遅い・相談しにくい」の29.8%で、「顧問料とサービス内容が見合っていない」と「提案やアドバイスがない」がそれぞれ26.5%でした。[13]
税理士を探し始めたきっかけは、「融資・資金繰りの相談で頼りにならなかった」が30.9%、「決算・確定申告時の対応に不信感を持った」が28.4%です。[13]日常の記帳ではなく、お金が足りないときや決算の時期に相談できなかったことが、税理士を変える直接の理由になっています。
新しい税理士を選ぶ基準
同じ調査で、新しい税理士を選ぶときに最も重視したことは次のとおりでした。[13]
| 最も重視したこと | 割合 |
|---|---|
| 相談しやすさ・人柄・相性 | 21.1% |
| クラウド会計などのITリテラシー | 20.9% |
| 業界に関する専門知識 | 18.6% |
| 顧問料の安さ | 7.2% |
顧問料の安さを最も重視した人は、相談しやすさを重視した人の3分の1です。開業したての税理士が値下げで顧問先を取りに行くと、選ばれる理由の小さいところで勝負することになります。それより、問い合わせにすぐ答えられること、オンラインで相談できることを、最初から見える形にしておきます。業界の知識を最も重視した人も18.6%いるので、医療、飲食、不動産、IT企業など、得意にしたい業界を1つか2つ決めて、ホームページと名刺に書くことも効きます。前の事務所で多く担当した業界があれば、それが最初の専門になります。何件あれば事務所が回るか、顧問料から逆算します。
顧問料と、必要な顧問先の数
顧問料の決め方には、ほかの事務所の相場を参考にする方法と、自分の売上の目標から逆算する方法があります。開業の計画を立てるなら、目標から逆算する方が確かです。理由は、公開されている相場の数字が古いからです。
公開されている相場は2014年のもの
顧問料の分布として引用される数字は、日税連の実態調査をもとにしたものが目立ちます。ところが、2024年の第7回の報告書は会員向けに公表されたもので、一般には公開されていません。[2]そのため、ウェブ上で「相場」として紹介される顧問料の割合には、2014年に行われた第6回の数字を引いたものが多く見られます。
10年あまりの間に、クラウド会計の普及、インボイス制度、電子帳簿保存の見直しなどで、税理士の仕事の中身は変わっています。古い分布をそのまま自分の料金に当てはめるより、自分の事務所の時間と売上の目標から決める方が、説明もしやすくなります。
売上の目標から顧問先の数を出す
開業した税理士の収入の分布は、第7回調査の報告書が会員向けのため、公開の数字では確かめにくいのが実情です。そこで、売上を顧問先の数から出してみます。顧問料と決算料の金額は、この記事の仮定です。
- 法人の顧問料は月3万円
- 決算料は顧問料の5か月分(15万円)
- 1社あたりの年間の売上は、3万円×12か月+15万円=51万円
| 年間の売上の目標 | 必要な顧問先(法人) |
|---|---|
| 300万円 | 約6社 |
| 600万円 | 約12社 |
| 1,000万円 | 約20社 |
ここから、事務所の家賃、会計ソフト、保険、税理士会の会費などの経費を引いた残りが手元に残る額です。東京の場合、会費だけで年8万1,000円と支部会費がかかります。[6]先のうららさんの1年目は9件(スポットを含む)だったので、この計算では1年目の売上は数百万円の範囲に収まることが見えてきます。2年目以降に顧問先を積み上げる計画を、資金の見込みと合わせて立てます。
顧問先が20社に近づくと、記帳の入力や資料の整理に使う時間が増え、1人では相談や提案に使う時間が足りなくなります。パートの職員を雇うか、入力を外部に任せるかは、その時点で人件費と自分の時間の値段を比べて決めます。雇う場合は、守秘義務を職員にも守ってもらう仕組みが要ります。職員を雇うときの労働保険や社会保険の手続きは社労士の仕事で、開業したばかりの社労士が顧客をどう探しているかは社労士の開業の記事にまとめています。
スポットの相談を入口にする
個人事業主の確定申告、相続税の相談、税務調査の立ち会いなど、1回だけの依頼(スポット)は、顧問契約の入口になります。確定申告を1回頼んだ個人事業主が、法人にするときに顧問契約を結ぶ、といった流れです。相続税の相談は不動産の相続登記と重なることが多く、相続を軸に開業する司法書士の事情は司法書士の開業の記事にまとめています。家計の相談を受けるファイナンシャルプランナーから、個別の税額の相談を回してもらう経路もあり、FPの側の事情はFPの独立の記事で紹介しています。
スポットの依頼は、顧問先が少ない開業直後の売上と、面談の経験の両方になります。料金を決めて公開しておき、相談の申し込みから支払いまでを短い手順で済ませられるようにすると、問い合わせから依頼までが途切れにくくなります。数が決まったら、相談の受け方を決めます。
相談しやすさを仕組みにする
先の調査で最も多かった不満は「レスポンスが遅い・相談しにくい」でした。[13]開業したての事務所が最初に差をつけられるのは、ここです。相談しやすさは人柄だけでなく、相談の受け方の仕組みでも作れます。
初回相談の前に聞くこと
初回相談の申し込みの時点で、次のことを聞いておくと、当日の相談が具体的になります。
- 法人か個人事業主か、業種、おおよその売上の規模
- 決算月(個人なら確定申告の状況)
- いまの記帳の方法(会計ソフト、手書き、記帳の代行)
- いま税理士がいるか、変えたい理由は何か
- いちばん困っていること(資金繰り、決算、税務調査、相続など)
最後の項目は、先の調査で税理士を探すきっかけになっていた「資金繰り」や「決算」に当たります。申し込みの段階で困りごとが分かれば、初回の相談で具体的な提案ができます。相談の前に決算書や試算表を送ってもらう場合は、受け取る方法も決めておきます。
有料か無料か、どちらも帳簿に残す
初回相談を無料にするか有料にするかは、事務所の方針で決めます。無料にすると申し込みの敷居は下がりますが、顧問契約につながらない相談に時間を取られることもあります。有料にする場合は、予約と同時に相談料を受け取る形にすると、当日の支払いのやり取りが要りません。
どちらの場合も忘れてはいけないのが帳簿です。税理士法第41条は、税理士に業務に関する帳簿を作り、委嘱者別に、1件ごとに、税務代理、税務書類の作成または税務相談の内容とその顛末を記載することを求め、帳簿は閉鎖後5年間保存します。[4]無料の初回相談でも税務相談に当たるなら記録が要るので、相談の日時と相手の情報が残る形で受けておくと、帳簿をつけるときの手間が減ります。
返事の速さを決めておく
1人の事務所では、確定申告の時期や決算が重なる月に、問い合わせへの返事が遅れがちです。忙しい時期ほど、「いつまでに返事をするか」を先に決めて、相談の申し込み方と一緒に公開しておくと、相手は待つ時間が分かります。
たとえば、「平日のお問い合わせには翌営業日までに返信します」「初回相談はこの予約ページから、空いている日時を選んでください」とホームページに書いておけば、メールの往復で日程を決める手間が減ります。顧問先の機密を扱う仕事なので、チャットやメールで受け取る資料の扱いも決めておきます。AIのツールに顧問先の情報を入れるときの線引きは、ChatGPTに顧客の情報を入れる前の記事で整理しています。これを1人で回す予約の仕組みを見ておきます。
相談を予約で受ける仕組み
初回相談とスポットの相談を1人で受けるには、日程の調整、事前の質問、相談料の受け取り、オンラインの面談の案内を1つの流れにできると楽になります。そのための条件を挙げ、条件に合うツールの例を見ます。
予約ページに必要な4つの条件
- カレンダーの空いている時間だけを出し、顧問先への訪問や税務署での立ち会いの予定と重ならない
- 申し込みのときに、業種、決算月、困りごとを聞ける
- 有料の相談なら、予約と同時に相談料を受け取れる
- オンライン面談の入室用のリンクを送り、相談の前日にもお知らせする
SailLab(セイルラボ)
以下では、この4つを満たすツールの一例として、SailLab を取り上げます。

SailLab は、予約ページ・カレンダー連携・事前決済・リマインドメールを1つにまとめた国産の予約システムです。
- GoogleカレンダーやMicrosoftのカレンダーと連携し、予定のある時間は予約を受けません
- 予約ページごとに受付フォームを付け、業種や決算月、困りごとを相談の前に聞けます
- 予約と同時にカードで相談料を受け取れます。入金は自分のStripeアカウントに直接入ります
- ZoomやGoogle Meet、TeamsのURLを予約ごとに発行し、確認とリマインドのメールを自動で送ります
初回相談の予約ページと、顧問先向けの打ち合わせの予約ページを分けて作れば、新しい相談と既存の顧問先の予定を同じカレンダーで管理できます。士業での使い方は士業向けのページで紹介しています。カード決済にはStripeの手数料3.6%がかかり、SailLab の手数料はプランによって0%または3%です。料金は料金ページで確認できます。
できないこと
できないことも書いておきます。毎月の顧問料を顧問先から自動で引き落とす機能はありません。SailLab で受け取れるのは、予約ごとの相談料です。顧問料は、これまでどおり請求書と口座振替などで受け取る必要があります。
税理士法第41条の帳簿をつける機能や、会計、申告の機能もありません。予約と支払いの記録は残りますが、相談の内容とその顛末は、帳簿に別に記録します。通知はメールだけで、LINEには対応していません。最後に、開業を決める前に確かめる数字をまとめます。
開業を決める前に確かめる6つの数字
- 登録と入会の費用:入る税理士会の金額を確かめる。東京なら約29万〜31万円。登録手数料は2027年4月以降の納付で2万円上がる
- 2年分の資金:軌道に乗るまでの期間を2年と見て、生活費と事務所の経費を借入も含めて見込む
- 1年目の受注の目標:紹介会社、紹介、ホームページなど、経路ごとに何件を目指すか
- 必要な顧問先の数:売上の目標 ÷ 1社あたりの年間の売上。月3万円と決算料15万円なら、600万円で約12社
- スポットの料金:確定申告や相続の相談など、入口になる依頼の料金を決めて公開する
- 返事の期限:問い合わせに何営業日以内に答えるかを決め、相談の申し込み方と一緒に載せる
開業税理士の多くが60歳以上という数字は、顧問先がこれから新しい税理士を探す時期に入ることを示しています。そのときに選ばれるのは、安い事務所より、すぐ相談できる事務所です。相談の予約の受け方は士業のオンライン相談の予約についての記事、相談料をカードで受け取るときの手数料は決済サービスの手数料を比べた記事も参考になります。初回相談の予約ページを作ってみる場合は、無料アカウントから作成できます。クレジットカード登録は不要です。
参考資料
- 会計事務所の広場「税理士実態調査 税理士の5割超が60歳以上 開業税理士は6割超える」2025年4月24日。日本税理士会連合会「第7回税理士実態調査」(2024年4月実施、回答3万8,607件)の集計を紹介した記事(2026年10月7日確認)
- 日本税理士会連合会「第7回税理士実態調査報告書の公表について」2025年2月21日。報告書は会員専用ページで公表(2026年10月7日確認)
- 日本税理士会連合会「税理士登録者数」2026年9月末日現在(2026年10月7日確認)
- e-Gov法令検索「税理士法」第3条、第20条、第38条、第40条、第41条(2026年10月7日確認)
- 日本税理士会連合会「登録に必要な提出書類等」(2026年10月7日確認)
- 東京税理士会「東京税理士会に税理士登録申請書を提出する方へのご案内」本会入会までの費用(2024年4月現在)(2026年10月7日確認)
- とむK(税理士・行政書士)のXの投稿、2026年10月1日
- 小西裕也(税理士・行政書士)のXの投稿、2026年10月6日
- YC(開業税理士)のXの投稿、2026年10月1日
- わったん税理士(岡山で独立開業)のXの投稿、2026年9月29日
- ワニプレ税理士のXの投稿、2026年9月24日
- うらら(2025年開業の税理士)のXの投稿、2026年5月1日
- 小谷野税理士法人「325人の調査から見えた、これからの税理士選びの基準」2026年7月28日公開、9月25日更新。過去3年以内に税理士を変更した、または変更を検討している経営者・役員325人が対象(2026年10月7日確認)
田口 奈津子 / SailLab 編集部
SailLab 編集部で、予約受付・事前決済・無断キャンセル対策や、教室とレッスンの運営など、対面とオンラインでサービスを提供する事業者向けの記事を担当しています。