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教員の副業、許可が要るもの・要らないもの:個人レッスンと地域クラブ

14分で読める 田口 奈津子 田口 奈津子 / SailLab 編集部
教員の副業、許可が要るもの・要らないもの:個人レッスンと地域クラブ

休日に、近所の子どもにピアノを教えてほしいと頼まれた。地域のクラブでバスケットボールのコーチをしないかと誘われた。公民館の講座で書道を教えてくれないかと声がかかった。公立学校の先生にとって、どれも「教える」仕事ですが、どの法律が当てはまり、誰の許可が要るかは、それぞれ違います。

この記事は、公立学校の先生が、休日に教える仕事を引き受けたり、自分でレッスンを開いたりする前に読むためのものです。先生の副業を3つの道に分け、2026年4月の自営兼業の見直しとの関係、「教育に関する仕事」の範囲、自分でレッスンを開く場合、地域クラブで教える場合、立場による違い、許可を受ける流れの順に確かめます。

この記事の結論

公立学校の先生の副業は、教育に関する他の職(他の学校の講師、公民館の講座など)なら教育公務員特例法第17条、それ以外の報酬を得る仕事なら地方公務員法第38条により、どちらも服務を監督する教育委員会の許可が要ります。自分で開く有料のレッスンは後者にあたります。地域クラブの指導は、無償か交通費などの実費だけなら許可は要りません。2026年4月の自営兼業の見直しは国家公務員の制度で、先生の扱いは教育委員会ごとに確かめます。

先生の副業は、3つの道に分かれる

公立学校の先生は地方公務員で、副業には許可が要るのが原則です。ただ、その許可の根拠になる法律は1つではありません。教える仕事の中身によって、どの道を通るかが決まります。

教育に関する他の職:教育公務員特例法第17条

教育公務員特例法第17条は、先生が教育に関する他の職を兼ねたり、教育に関する他の事業や事務に従事したりすることを、本務の遂行に支障がないと任命権者が認める場合に、給与を受けても受けなくてもできる、と定めています。この場合、人事委員会が定める許可の基準によることは要しない、ともされています。[1]

他の学校で講師をする、公民館の講座で教える、といった仕事がこの道です。県費で採用されている市町村立学校の先生の場合、認めるのは市町村の教育委員会です。[1]

それ以外の報酬を得る仕事:地方公務員法第38条

地方公務員法第38条は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業を営むことや、報酬を得て事業や事務に従事することができない、としています。文部科学省の手引きは、先生の兼職兼業について、この第38条と教育公務員特例法第17条などに基づき、服務を監督する教育委員会の許可を得た場合に行うことができる、と説明しています。[1]

教育に関する他の職にあたらない、報酬を得る仕事は、こちらの道です。自分でレッスンを開いて月謝や受講料を受け取る形は、ここに入ります。どちらの道でも、許可を出すのは服務を監督する教育委員会です。

許可が要らない:無償のボランティア

3つ目の道は、報酬を受けない活動です。手引きは、地域クラブで休日などの勤務時間外に、無償か交通費などの実費の範囲だけの支給で指導する場合は、兼職兼業の許可は要らないとしています。[1]

道当てはまる例許可
教育公務員特例法第17条他の学校の講師、公民館の講座、教育委員会の委員任命権者が認める
地方公務員法第38条自分で開く有料のレッスン、謝礼のあるコーチ服務を監督する教育委員会の許可
許可が要らない無償か実費だけの地域クラブの指導不要

では、2026年4月の見直しは、この3つの道のどこに関わるのでしょうか。

2026年4月の見直しは、先生にどう関わるか

「公務員の副業が解禁」という見出しを見た先生も多いはずです。ここで押さえておきたいのは、見直しを決めたのは人事院で、対象は国家公務員だということです。

国の見直しは、国家公務員の制度

人事院は2025年12月、国家公務員の自営兼業について「職員の有する知識・技能をいかした事業」と「社会貢献に資する事業」を承認できるようにし、2026年4月1日から施行すると発表しました。[2]スポーツや芸術の教室を開くことも、典型例の1つに挙がっています。

この見直しの承認基準、つまり週休日だけ、週8時間・月30時間、承認は2年まで、といった中身は、公務員の副業で教室を開く記事で詳しく書いています。ただし、これは国家公務員に向けた基準で、公立学校の先生にそのまま当てはまるものではありません。

自治体によっては、先生の基準も見直された

地方公務員の許可の基準は、それぞれの自治体が決めます。国の見直しを受けて、自分たちの基準を見直した自治体もあります。ある県の公立学校の先生は、note に「私が勤務する県もルールを見直してくれました」と書き、知識や技能をいかした自営の許可を受けるための書類を読み込んだ経緯を記録しています。[3]

逆に言えば、見直しがあったかどうか、何が許可の対象になったかは、勤めている自治体の教育委員会ごとに違います。他の県の先生の体験談や、国家公務員向けの記事を読んで、自分にも同じことができると考えるのは危険です。

自分の教育委員会の基準を確かめる

まず、教育委員会のホームページや校内の服務に関する資料で、兼職兼業の許可の基準と申請の様式を探します。見つからなければ、管理職か教育委員会の服務の担当に、どの基準が使われているかを聞きます。

確かめたいのは、教える仕事がどの道に入るか、許可の基準に時間や収入の目安があるか、申請に何を添えるか、の3つです。次は、1つ目の道の「教育に関する仕事」が、どこまでを指すかを見ます。

「教育に関する仕事」の範囲

教育公務員特例法第17条の道は、人事委員会の基準によらずに任命権者が認められる、先生ならではの道です。ここで多くの人が思い込みやすいのが、教えることなら何でも「教育に関する」仕事になるという考え方です。

範囲を示した文書

文部科学省は、先生の兼職兼業に関する資料の1つとして、「教育に関する他の事業若しくは事務」の範囲を示した昭和34年の文書を載せています。そこに挙がっているのは、おおむね次の職です。[4]

  • 公立や私立の学校、各種学校で、教育を担当したり教育事務に従事したりする職
  • 図書館、博物館、公民館などの社会教育施設で、教育を担当したり教育事務に従事したりする職
  • 教育委員会の委員や職員、教育に関する審議会の委員
  • 学校法人や社会教育関係団体のうち、教育の事業を主な目的とするものの役員や、もっぱら教育を担当する職員

この文書はもとは国家公務員である教育公務員について書かれたもので、当時の条文番号は第21条です。[4]それでも、文部科学省が先生の兼職兼業の資料として示している以上、範囲を考えるときの手がかりになります。

当てはまりやすい仕事

一覧に沿って考えると、他の学校や大学の非常勤講師、公民館や図書館の講座の講師、教育委員会が置く審議会の委員などは、教育に関する他の職として扱われやすい仕事です。いずれも、学校や社会教育施設、教育委員会といった、教育を目的とする組織の中の職です。

この道では、本務の遂行に支障がないことを任命権者が認めれば、報酬を受けて従事できます。[1]それでも勝手に引き受けてよいわけではなく、認めてもらう手続きが要ります。

当てはまらない仕事

一方、一覧には、先生が自分で開く個人レッスンや、民間企業が運営する教室の講師は挙がっていません。自分の名前で生徒を集めて受講料を受け取る形は、学校や社会教育施設の職ではなく、自分で事業を営む形だからです。

こうした仕事は、2つ目の道、地方公務員法第38条による許可の対象として考えるのが自然です。どちらに入るかを自分で決めずに、申請の前に服務の担当に確かめてください。次は、その2つ目の道で、自分でレッスンを開く場合です。

自分でレッスンを開く場合

ピアノや絵、英会話、スポーツ、学習の個別指導を、休日に自分で教えて受講料を受け取る。先生の技能が最も直接いかせる形ですが、許可の判断で問われることも多い形です。

許可で問われる観点

手引きは、教育委員会が許可を出すときに、職務の公正を害したり、職務への集中力を欠いたり、職員の品位を落としたりするおそれがないか、公務への信頼に悪い影響を与えないかに留意する必要がある、としています。[1]

例として挙がっているのは、兼職兼業に力を入れすぎて本務がおろそかになること、社会通念上適当とはいえない高額な報酬を受け取ること、学校の生徒を勧誘して見返りを受け取るような利益相反にあたることです。[1]自分のレッスンでも、時間、料金、生徒の集め方の3つが、説明を求められやすいところです。

自分の学校の生徒を教えるとき

地域クラブについて、手引きは、勤務先の学校の生徒を指導していても、その間の身分は兼職兼業先の一員であって、教師としての立場で行うものではない、と整理しています。[1]自分の学校の生徒が相手であること自体が、一律に禁止されているわけではありません。

ただ、自分で開く有料のレッスンで、担任や教科の担当として成績をつける生徒を教えると、公正さに疑念を持たれやすくなります。許可を申請するときに、自分の学校の生徒をどう扱うかを書いておくと、相談がしやすくなります。たとえば、勤務校の生徒は受けない、と決めてしまう方法もあります。

時間と、本務への支障

先生の場合、学期中の平日は授業の準備や部活動、校務で埋まりがちです。レッスンを入れる日時は、休日や長期休業中の勤務時間外に絞るのが、本務への支障を説明しやすい組み方です。

報酬を受け取れば、確定申告など税の手続きも必要になります。国家公務員向けの承認の基準では、収入の目安や時間の目安が数字で示されています。自治体の基準に数字がない場合も、自分の計画を数字で説明できるようにしておくと、許可の判断が進めやすくなります。次は、部活動の地域移行で増えている地域クラブの場合です。

部活動の地域クラブで教える場合

部活動を学校の外の地域クラブに移す取り組みが進み、先生がそのクラブで指導を続ける例が増えています。文部科学省は2021年2月に、部活動改革を受けた先生の兼職兼業の取扱いについて通知を出し[5]、地域クラブで教える場合の手引きもまとめています。ここでも、報酬があるかどうかで許可の要否が分かれます。

報酬を受けるなら、許可が要る

手引きは、地域クラブで報酬を受けて指導する場合、一般的な手続きとして、クラブからの依頼状をもとに校長に相談して了承を得たうえで、服務を監督する教育委員会の許可を得る、という流れを示しています。[1]

自治体が運営するクラブでも、民間の団体が運営するクラブでも、報酬を受けて従事するなら許可の手続きが必要です。大会の運営に謝金を受けて加わる場合も同じです。[1]

無償なら不要。ただし「有償ボランティア」は別

休日などの勤務時間外に、無償か交通費などの実費の範囲だけで指導する場合は、許可は要りません。手引きは、この場合、校長への事前の相談も必ずしも要しないとしています。[1]

ただし、ボランティアと呼ばれていても、労務の対価として謝礼が出るもの、いわゆる有償ボランティアは、許可が必要です。[1]「ボランティアだから大丈夫」と考える前に、謝礼が出るかどうかを確かめるのが大切です。

指揮命令と、事故への備え

地域クラブで指導している間、指揮命令をするのは校長ではなく、そのクラブや団体です。先生の身分も、学校の教師ではなく団体の一員になります。[1]事故が起きたときの責任は、まず運営主体が負いますが、ボランティアでも注意義務を問われることがあるため、個人として保険に入っておくことが望まれるとされています。[1]

自分でレッスンを開く場合は、運営主体は自分です。場所の安全や保険、生徒の連絡先の管理まで、自分で責任を持つことになります。ここまでは正規の先生の話です。次は、立場による違いです。

立場による違い

同じ学校で働いていても、雇われ方によって、副業の扱いは変わります。自分がどれにあたるかを先に確かめておきます。

会計年度任用職員と非常勤の講師

手引きは、パートタイムの会計年度任用職員は兼職兼業の許可が不要だとしています。[1]週に数日だけ勤める講師などで、この立場にある人は、許可の手続きなしに他の仕事をすることができます。

また、教育公務員特例法第17条は、一部の非常勤の講師には適用しないとされています。[1]フルタイムの会計年度任用職員や臨時的に任用された先生は、正規の先生と同じように許可が要る場合があるため、任用の通知書で自分の立場を確かめ、服務の担当に聞きます。

私立学校の先生

私立学校の先生は公務員ではないため、ここまでの法律は当てはまりません。副業ができるかどうか、どんな手続きが要るかは、勤め先の就業規則と雇用契約で決まります。

多くの学校では、届出や許可の手続きを就業規則に定めています。まず就業規則の兼業の条項を読み、わからなければ事務長や管理職に確かめます。立場がわかったら、許可を受ける流れに進みます。

許可を受ける流れと、予約の受け方

どの道でも、始める前に相談し、許可を受けてから教え始めるのが基本です。手引きが示す地域クラブの流れも、校長への相談から始まります。[1]自分でレッスンを開く場合も、同じ順番で考えます。

校長に相談し、教育委員会に申請する

相談の前に、何を、どこで、いつ、誰に、いくらで教えるかを1枚にまとめます。教える内容、場所、曜日と時間帯、対象とする生徒(勤務校の生徒をどう扱うか)、料金、年の収入の見込みです。

校長の了承を得たら、教育委員会の様式で申請します。許可が出るまでは、生徒の募集も受講料の受け取りも始めないようにします。許可に期限や条件が付いた場合は、それを予約の受け方に反映させます。

許可の範囲に、予約の受け方を合わせる

許可を受けたら、その範囲を超えないように申し込みを受けます。保護者からの連絡に個別に応じていると、平日の夜や学期中の平日に予定を入れてしまうことがあります。予約ページを使うなら、受付時間を休日や長期休業中の許可した時間帯だけにしておくと、範囲の外の申し込みは最初から入りません。

勤務校の生徒を受けないと決めた場合は、予約フォームで学校名を聞いておくと確かめやすくなります。前日の夜に申し込みが入って準備が勤務日にずれ込まないよう、受付の締切も決めておきます。

SailLab(セイルラボ)

以下では、こうした受け方ができるツールの一例として、SailLab を取り上げます。

土曜と日曜の午後だけに枠がある、子ども向けピアノの個人レッスンの予約ページの画面

SailLab は、予約ページ・カレンダー連携・予約フォーム・リマインドメール・決済を1つにまとめた国産の予約システムです。

  • 曜日ごとの受付時間を決められ、休日の決まった時間帯だけを予約ページに出せます
  • 予約フォームに質問を足せるので、学校名や学年、保護者の連絡先を予約のときに聞けます
  • 何時間前まで予約を受け付けるか、何日先まで受け付けるかを決められます
  • 祝日や、自分で決めた休みの日を、日付や期間で閉じられます。レッスン料を予約のときにカードで受け取る設定もあります

教室やレッスンでの使い方は教育・レッスン向けのページで紹介しています。カード決済には Stripe の決済手数料3.6%がかかり、SailLab の手数料はプランによって0%または3%です。料金は料金ページで確認できます。

できないこと

できないことも書いておきます。LINEで予約を受けたり、LINEで連絡を送ったりすることはできません。保護者とのやり取りをLINEで行っている場合は、予約だけを予約ページに移す形になります。月謝の自動引き落としや、毎週同じ曜日の予約をまとめて押さえる定期予約もありません。

許可の申請や、兼職兼業の時間の報告はSailLabの外で行います。予約の一覧は、許可の条件として状況の報告を求められたときに、レッスンの日時を確かめる材料になります。最後に、ここまでの内容を判定表にまとめます。

判定表

公立学校の先生が休日に教える仕事は、報酬があるか、教育を目的とする組織の職かの2つで、ほぼ道が決まります。迷ったら、表のどの行に近いかを見たうえで、服務の担当に確かめてください。

やりたいこと道まずすること
他の学校・大学の非常勤講師教育公務員特例法第17条依頼を受けたら校長に相談
公民館・図書館の講座の講師教育公務員特例法第17条依頼を受けたら校長に相談
自分で開く有料のレッスン地方公務員法第38条教育委員会の基準を確かめ、計画を1枚にまとめる
民間の教室・学習塾の講師多くは地方公務員法第38条教育委員会の基準を確かめる
地域クラブの指導(報酬あり)兼職兼業の許可依頼状をもらい、校長に相談
地域クラブの指導(無償・実費だけ)許可は不要謝礼が出ないかを確かめ、保険に入る
私立学校の先生の副業就業規則兼業の条項を読む

国家公務員向けの承認の基準と、年20万円・月30時間を教室の回数に直した計算は公務員の副業で教室を開く記事で、本業の合間に個人セッションを受ける時間の組み方はコーチングの副業の記事で扱っています。許可の範囲だけを受け付ける予約ページは、無料アカウントから作成できます。クレジットカード登録は不要です。

参考資料

  1. 文部科学省・スポーツ庁・文化庁「公立学校の教師等が地域クラブ活動に従事する場合の兼職兼業について(手引き)」(教育公務員特例法・地方公務員法の条文を参考に収録。2026年10月23日確認)
  2. 人事院「自営兼業制度の見直しについて」報道資料(2025年12月19日)
  3. こーちゃん「【2026年最新】公立学校の教員も副業可能に!自営許可をとる最速の申請ルート」note(2026年4月24日)
  4. 文部科学省「教育公務員特例法第二十一条に定める「教育に関する他の事業若しくは事務」の範囲について」(昭和34年2月21日 文人任第22号)
  5. 文部科学省「「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」を受けた公立学校の教師等の兼職兼業の取扱い等について(通知)」(令和3年2月17日)
田口 奈津子

田口 奈津子 / SailLab 編集部

SailLab 編集部で、予約受付・事前決済・無断キャンセル対策や、教室とレッスンの運営など、対面とオンラインでサービスを提供する事業者向けの記事を担当しています。

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