「8回チケット制なので残り何回と表示したいのですが、どのようにしたらよいでしょうか?」――エクセルで会員の回数券を管理している方が、Yahoo!知恵袋に書いていた質問です。来るたびに会員番号を入力して、残りの回数を数える。紙のカードでもエクセルでも、回数券の管理はこの手作業の積み重ねです。
この記事は、レッスン・パーソナルトレーニング・ヨガ・カウンセリングのように、予約を受けてサービスを提供する仕事で回数券を売っている、または売ろうとしている方に向けたものです。カフェのコーヒーチケットのように店頭で使う回数券とは、選ぶべき道具が変わります。その分かれ目を先に示し、比べる点、有効期限と法律の関係、紙から移すときの手順の順に確認します。
この記事の結論
回数券アプリには、店頭で券をもぎる型と、予約と一緒に回数を減らす型があります。予約で受ける仕事なら後者が合い、キャンセルで回数が戻るか、長さの違うメニューを扱えるか、期限が本当に切れるかで比べます。有効期限を発行日から6か月以内にすると資金決済法の適用除外になりますが、期限後も使わせていると除外になりません。
目次
予約受付と事前決済まわりの記事はサービス業の予約リソース集にまとめています。
回数券アプリは、店頭でもぎる型と予約で減らす型に分かれる
「回数券アプリ」と呼ばれているサービスは、回数を減らすタイミングで2種類に分かれます。お客様が来た場で券を使うのか、予約した時点で回数を使うのか。検索で上位に並ぶ比較記事の多くは、飲食店や物販の店頭を前提にした前者を扱っています。
| 店頭でもぎる型 | 予約で減らす型 | |
|---|---|---|
| 回数が減るとき | 来店時に、画面やQRコードを見せて使う | 予約が確定したときに、自動で減る |
| 向いている仕事 | カフェ、テイクアウト、洗車など、予約なしで来る店 | レッスン、トレーニング、相談など、時間を押さえて受ける仕事 |
| キャンセルされたとき | そもそも使われていないので影響なし | 回数を戻す処理が要る |
| よく一緒に使うもの | レジ、会員証、クーポン、LINE | 予約ページ、カレンダー、事前決済 |
予約で受ける仕事が店頭型を使うと、回数券アプリと予約の管理が別々に残ります。予約はカレンダーで受け、回数は来たときにアプリで減らし、キャンセルが出たら両方を直す。回数券をデジタルにしても、手作業の数は変わりません。逆に、予約を取らない店舗なら、店頭型のほうが素直に回ります。
予約で受ける仕事なら、ここを比べる
予約で減らす型を選ぶときに確かめたいのは、次の5点です。どれも、欠けていると結局エクセルで補うことになる部分です。
| 確かめる点 | 欠けていると起きること |
|---|---|
| キャンセルしたとき、回数が自動で戻るか | キャンセルのたびに残数を手で直す。直し忘れると、お客様の残数が1回分少なくなる |
| 長さの違うメニューを、1種類の券で扱えるか | 30分と60分のレッスンがあると、「60分は2回分か1回分か」が決められない |
| 有効期限が、日付どおりに本当に切れるか | 期限後も使えてしまい、後述の法律上の扱いも変わる |
| お客様が自分で、オンラインで買えるか | 購入のたびに振込の確認と残数の付与を手でやる |
| 残数と期限が、お客様からも見えるか | 「あと何回ですか」「いつまでですか」の問い合わせが続く |
2つ目は見落とされやすい点です。回数券は「1回」という単位で数えるので、1回の長さが1種類の仕事にしか合いません。たとえば30分と60分のレッスンがある教室なら、券の単位を30分にそろえ、60分の予約は2回分を使う形にしておくと、メニューが増えても券の種類を増やさずに済みます。
以下では、この5点を満たす予約システムの一例として、SailLab を取り上げます。
SailLab(セイルラボ)

SailLab は、予約ページ・事前決済・お客様ごとの残高管理を1つにまとめた国産の予約システムです。回数券にあたるものは「ポイント」という形で扱います。
- ポイントのまとめ売りを、予約ページからつながるショップで販売できます。お客様は事前の会員登録なしでカードで購入でき、残高は購入時のメールアドレスに入ります
- メニューや長さごとに、使うポイント数を決められます。30分は1ポイント、60分は2ポイントのようにすれば、1回券と同じように使えます
- 予約すると自動で減り、キャンセルすると戻ります。戻ったポイントは、元の有効期限を引き継ぎます
- まとめ売りごとに有効期限を設定できます(日数または月数)。期限は購入時点で固定され、期限の近いポイントから先に使われます。期限を付けない設定もできます
- 残高と「◯ポイントが◯月◯日に失効」の表示が、お客様の画面と、事業者側の顧客画面の両方に出ます。紙の回数券の残りは、事業者が手動で付与できます
できないことも書いておきます。店頭でQRコードを読み取って使う機能、レジとの連携、LINE上での販売はありません。予約を取らずに来店するお客様が中心なら、店頭型のアプリを選んでください。
| プラン | 月額(税抜) | 回数券として使えること |
|---|---|---|
| Free | ¥0 | 予約ページ、確認・リマインドメール(ポイントの販売はなし) |
| Light | ¥1,000 | 上記に加え、メール文面の編集など(ポイントの販売はなし) |
| Standard | ¥1,500 | ポイントの販売と予約での消化、事前決済(SailLab の手数料3%) |
| Professional | ¥2,800 | Standard と同じ機能(SailLab の手数料0%) |
ポイントの販売には Stripe アカウントの接続が必要で、上の手数料とは別に Stripe の決済手数料がかかります(2026年9月時点。詳細は料金ページ)。
有効期限は、発行日から6か月以内が目安になる
回数券は、法律上は「前払式支払手段」にあたり、資金決済法の対象になり得ます。ただし、発行の日から6か月以内に限って使えるものは適用除外です。期限を付けるなら6か月以内が1つの目安になる、というのはこのためです。
一般社団法人日本資金決済業協会は、前払式支払手段を、金額やサービスの数量が記録され、その対価が支払われ、サービスを受けるときに使えるもの、などの要件で説明しています。回数券はサービスの「数量」を前払いで買うものなので、これにあたります。
| ルール | 回数券でいうと |
|---|---|
| 発行の日から6か月以内に限って使えるものは、適用除外 | 購入日から6か月以内で切れる回数券は、この法律の外 |
| 期限が形だけのものは、除外にならない | 期限後も頼まれて使わせている、システム上は期限後も使える、という運用だと対象になる |
| 残りを新しい券に引き継ぐと、期間は通算される | 6か月の券の残りを「期限延長」で新しい券に移すと、合計で6か月を超えれば対象になる |
| 起算日がはっきりしないものは、除外にならない | 「受け取った日から6か月」のように、発行日が確認できない書き方は避ける |
| 対象になっても、届出が要るのは未使用残高が1,000万円を超えたとき | 毎年3月末と9月末の時点で、使われていない残高の合計が1,000万円を超えたら、2か月以内に届出 |
協会のQ&Aには、事業者からの次の質問がそのまま載っています。「有効期限後利用客があって断り切れずに使用させた場合、このプリペイドカードは資金決済法の適用を受けますか。」答えは、有効期限が形骸化しているものは法の適用を受ける、です。期限を付けたなら、切れた券は使えないように運用する必要があります。
個人の教室やトレーナーの規模で、使われていない回数券の残高が1,000万円を超えることは多くありません。その場合、届出の義務は生じません。それでも期限を本当に切れる形にしておくのは、お客様との約束をあいまいにしないためでもあります。自家型の前払式支払手段は個人でも発行でき、1,000万円を超えれば個人でも届出と発行保証金の供託が必要になる、という点は覚えておいてください。
⚠️ ここに書いたのは日本資金決済業協会と金融庁が公開している説明の要点で、法的な助言ではありません。自分の回数券が該当するか、期限の書き方で足りるかは、協会のよくあるご質問や専門家に確認してください。
紙やエクセルの回数券から移すときは、元の期限を引き継ぐ
移行でいちばん大事なのは、お客様の残り回数だけでなく、その回数券が本来いつ切れる予定だったかを移すことです。移行日から新しく6か月を数え直すと、前章の「通算」のルールで、元は適用除外だった回数券が6か月を超えることがあります。
- いま有効な回数券を一覧にする――お客様ごとに、残り回数・購入日・有効期限を書き出します。エクセルで管理していれば、そのまま使えます
- 移行日を決めて、先に知らせる――「◯月◯日から予約ページで残数が見られるようになります。紙のカードの残りはそのまま引き継ぎます」
- 残り回数を手で付与する――期限は、元の券の期限までの残り日数で設定します。移行日を起点に延ばさないでください
- 付与した残数をお客様に確認してもらう――紙のカードは、確認が取れるまで捨てずに保管します
- 移行日以降の新しい販売は、アプリ側だけで行う――紙とアプリで同時に売ると、どちらの残数が正しいかわからなくなります
たとえば、有効期限が11月30日の8回券が残り3回なら、9月15日に移行するときの期限も11月30日のままです。移行日から6か月後の3月15日にはしません。
買う前に、お客様に見せておくこと
期限と返金の条件は、買う前に見えていないと、あとで争いになります。ヨガの回数券を買った方が知恵袋に書いていたのは、「忙しくて通えず、期限切れになりそうなので、払い戻ししたいと頼んだところ払い戻しは一切応じられないと言われました」という相談で、続けて「できないと最初から書くべきでないですか?」と書いています。
購入ボタンの前に見える場所へ、次の4つを書いておきます。
- 回数(またはポイント数)と価格、1回あたりの金額
- 有効期限と、何日から数えるか(購入日から◯か月、など)
- 期限が切れたら使えないこと
- 返金の条件(原則なし、転居・体調など例外があればその内容)
インターネットで回数券を売る場合は、これらは特定商取引法の表示事項にも関わります。また、語学教室・家庭教師・学習塾・パソコン教室などで、期間が2か月を超え金額が5万円を超えるコースは、中途解約と返金の上限が法律で決まっています。キャンセル料の決め方と合わせてキャンセルポリシーの書き方の記事にまとめています。
いまの状況別の決め方
| いまの状況 | 選び方 |
|---|---|
| 予約なしで来るお客様が中心(カフェ、物販など) | 店頭でもぎる型。レジやLINEと連携できるかで比べる |
| 予約で受ける仕事で、紙のカードかエクセルで管理している | 予約で減らす型。キャンセル時の返却と、長さの違うメニューを確かめる |
| 回数券を売るのはこれから | まず期限を決める。発行日から6か月以内で、本当に切れる設定にしておくと、あとで迷わない |
| 期限なしで売ってきた | これから売る分から期限を付ける。すでに売った分の期限を後から短くしない |
予約時に代金を受け取って無断キャンセルを減らす方法は無断キャンセル対策の記事に、エクセルで予約を管理している場合の限界はエクセル予約表の記事にまとめています。レッスンや教室での使い方は教育・スクール向けの活用例も参考になります。
この記事の出典について
- 資金決済法の要件と適用除外、届出の基準は、一般社団法人日本資金決済業協会「前払式支払手段発行業の概要」「前払式支払手段についてよくあるご質問」を2026年9月17日に確認したものです(出典: 日本資金決済業協会、2026年9月時点、対象は日本の資金決済法)
- 前払式支払手段の定義は、金融庁「商品券(プリペイドカード)の払戻しについて」(同日確認)によります(出典: 金融庁、2026年9月時点、対象は資金決済法上の前払式支払手段)
- 引用した相談文は、Yahoo!知恵袋に公開されている質問(2010年、2012年)からのものです
- SailLab の機能と料金は2026年9月時点のものです。法令の運用やプランの内容は変わります。判断の前に一次情報をご確認ください
予約で減らす回数券を試す場合は、無料アカウントから予約ページを作れます(クレジットカード登録は不要です)。ポイントの販売は Standard プラン以上が必要です。
田口 奈津子 / SailLab 編集部
SailLab 編集部で、予約受付・事前決済・無断キャンセル対策など、対面とオンラインでサービスを提供する事業者向けの記事を担当しています。