「インサイドセールスを立ち上げたい。でも、何人いれば足りるのか」。立ち上げの手順を解説した記事は多くありますが、この問いに答えている記事はほとんどありません。大企業の事例から「まずは3〜5人で」と言われても、営業が数人の会社にはその人数が出せないことも多いはずです。
人数は、目標の商談数と、電話がつながる割合、会話が商談になる割合から計算で出せます。計算してみると、小さな会社では「チームを作る」ではなく「1人の週の半分を充てる」で足りることも珍しくありません。この記事を読み終えるころには、自社に必要な人数を計算し、商談の定義、メールで守るルール、営業への渡し方までを決められるはずです。
この記事の結論
インサイドセールスの人数は、目標の商談数から逆算して決めます。月20件の商談を目標に、会話から商談になる割合を20%、電話がつながる割合を25%、1人1日60件の架電で計算すると、必要なのは月400件の架電で、1人の3分の1の時間で足ります。最初は1人で始め、商談の定義と渡し方を先に決めます。
目次
営業と採用の進め方に関するほかの記事は、営業・採用チーム向けリソース集から探せます。
インサイドセールスは、商談を作って渡す仕事
インサイドセールスは、見込み客に電話やメールで接触し、商談の約束を取り付けて、訪問やオンラインで提案する営業に渡す役割です。提案して契約を取る営業は、フィールドセールスと呼ばれます。仕事を分けることで、フィールドセールスは提案と契約に時間を使えるようになります。
反響を追うSDR、新規を開くBDR
インサイドセールスには、大きく2つの型があります。
| 型 | 相手 | 主な仕事 |
|---|---|---|
| SDR(反響型) | 資料請求、問い合わせ、セミナー参加など、自社に接触してきた人 | 早く連絡し、関心の度合いを確かめて商談にする |
| BDR(新規開拓型) | まだ接点のない、狙いたい会社 | 担当者を探し、課題を聞き出して商談にする |
問い合わせや資料請求がすでに月に数十件ある会社は、SDRから始めるのが自然です。反響がほとんどない会社は、BDRとして狙う会社のリストから作ることになります。どちらで始めるかで、必要な人数も、使うリストも変わります。
テレアポとの違い
テレアポも電話でアポイントを取る仕事ですが、インサイドセールスはアポイントの数より、商談の質と、渡したあとの成約まで見る点が違います。今すぐ商談にならない相手にも、メールや資料で関係を続け、時期が来たら商談にします。
電話そのもののコツや、個人宛ての電話にかかる特定商取引法のルールは、テレアポのコツの記事にまとめています。この記事では、電話の技術ではなく、役割として立ち上げる手順を扱います。
まだ立ち上げなくてよい会社
次のどれかに当てはまる会社は、専任の担当を置く前に、別のことを先に整えたほうが早く成果が出ます。
- 問い合わせが月に数件で、営業が自分で対応しても時間が余っている
- 誰に売るか、どの業種を狙うかがまだ決まっていない
- 商談になっても、提案資料や価格表がそろっていない
反対に、営業が問い合わせへの折り返しに追われて提案の準備ができない、問い合わせから連絡までに数日空いている、という会社は、立ち上げる理由があります。
立ち上げると決めたら、最初に決めるのは人数でもツールでもありません。
最初に決める3つ
手順を書いた記事の多くは「目的を決める」から始まります。実際に決めておかないと後でもめるのは、目的、商談の定義、戻し方の3つです。どれも、インサイドセールスとフィールドセールスの両方が合意しておく必要があります。
目的を1つに絞る
目的は「商談を増やす」「営業の時間を空ける」「眠っている見込み客を掘り起こす」など、いくつも挙がりがちです。最初の半年は1つに絞ります。目的が複数あると、何を優先して電話するかが担当者ごとに変わり、成果を測れなくなります。
たとえば「問い合わせから商談になる件数を、月10件から20件にする」のように、数と期限が入った形にしておくと、次の章の人数の計算にそのまま使えます。
「商談」の定義をフィールドセールスと決める
インサイドセールスが「商談を取った」と思って渡しても、フィールドセールスが「これは商談ではない」と感じれば、受け取ってもらえません。渡す基準は、次のような項目で先に決めておきます。
| 項目 | 決めておく例 |
|---|---|
| 相手の会社 | 従業員数や業種が、狙っている範囲に入っている |
| 相手の立場 | 導入を決める人か、決める人に話を通せる人 |
| 課題 | 自社の商品で解決できる課題を、相手が口にしている |
| 時期 | 半年以内に検討を始める予定がある |
基準は最初から完璧である必要はありません。月に1回、渡した商談が成約したかどうかを見て直すことを前提に、まず書いて合意します。
失注とリスケの戻し方
渡した商談が成約しなかったとき、その相手を誰が追うかも決めておきます。時期が合わなかっただけの相手は、インサイドセールスに戻して半年後にもう一度連絡する、といった形です。
商談の日程が変更になったときに、誰が相手と連絡を取るかも同じです。決めておかないと、両方が連絡して相手を困らせるか、どちらも連絡しないまま商談が消えます。この点は7章でもう一度扱います。
定義が決まれば、必要な人数を計算できます。
人数は目標の商談数から逆算する
必要な人数は、目標の商談数を、会話が商談になる割合と、電話がつながる割合で割り戻し、1人がかけられる電話の数で割ると出ます。大企業の事例の人数ではなく、自社の目標から出した数字で決めます。
逆算の式
式は4段です。
- 必要な会話の数 = 目標の商談数 ÷ 会話から商談になる割合
- 必要な架電の数 = 必要な会話の数 ÷ 電話がつながる割合
- 1人がかけられる架電の数 = 1日の架電数 × 月の営業日数
- 必要な人数 = 必要な架電の数 ÷ 1人がかけられる架電の数
ここでの「会話」は、担当者本人と話せて、課題を聞けた電話のことです。受付で断られた電話や留守番電話は含めません。割合は会社や商材によって大きく違うので、最初は仮の数字で計算し、1か月動かしたあとに実際の数字に置き換えます。
計算例
たとえば、月20件の商談を目標にする会社で、次の仮の数字を置きます。
| 項目 | 仮の数字 | 計算 |
|---|---|---|
| 目標の商談数 | 月20件 | — |
| 会話から商談になる割合 | 20% | 20 ÷ 0.2 = 会話100件 |
| 電話がつながる割合 | 25% | 100 ÷ 0.25 = 架電400件 |
| 1人の架電数 | 1日60件 × 20日 | 1人あたり月1,200件 |
| 必要な人数 | — | 400 ÷ 1,200 = 約0.33人 |
この例では、1人の3分の1の時間で目標に届きます。数字はあくまで計算の例で、どこかの調査の平均ではありません。割合が変わると、必要な人数は次のように変わります。
| 会話→商談 | つながる割合 | 必要な架電 | 必要な人数 |
|---|---|---|---|
| 20% | 25% | 400件 | 約0.33人 |
| 10% | 25% | 800件 | 約0.67人 |
| 10% | 15% | 約1,333件 | 約1.1人 |
割合が両方とも下がると、必要な人数は3倍以上になります。もう1つ確かめておきたいのは、電話をかける相手のリストが足りるかです。1件のリードに最大3回まで電話すると決めているなら、400件の架電には少なくとも約134件のリードが要ります。リストが足りなければ、人数を増やしても商談は増えません。
量と質のKPI
KPIは、量と質の両方を置きます。量だけを追うと、つながりやすい相手にばかり電話して商談の質が落ち、質だけを追うと、架電が減って商談の数が足りなくなります。
| 種類 | KPIの例 | 見る頻度 |
|---|---|---|
| 量 | 架電数、会話数、商談数 | 毎週 |
| 質 | 渡した商談がフィールドセールスに受け取られた割合、成約した割合 | 毎月 |
立ち上げの最初の1〜2か月は、量のKPIを中心に見ます。計算に使った仮の割合を、実際の数字に置き換えるための期間だからです。割合が見えてきたら、質のKPIで商談の定義を直していきます。
人数が決まったら、誰が担い、どう回すかです。
担当者と体制
計算で出た人数が1人未満なら、専任を置かず、今いる人の時間の一部を充てることから始められます。1人以上なら、社内の異動、採用、外部への委託のどれで用意するかを決めます。
社内の異動か、採用か、外部か
| 方法 | 向いている場合 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 社内の異動・兼任 | 必要な人数が1人未満、商品をよく知る人がいる | 本来の仕事に押されて架電が後回しになる |
| 採用 | 1人以上が長く必要で、育てる時間がある | 成果が出るまでに数か月かかる |
| 外部への委託 | 早く始めたい、社内に経験者がいない | 商談の定義と渡し方を委託先と細かく決める必要がある |
兼任で始める場合は、架電の時間を予定表に固定します。「空いた時間にかける」では、ほとんどかからないまま月末になります。たとえば火曜と木曜の午前は架電だけ、と決めておきます。
マネージャーと会議
担当が1人でも、数字を一緒に見る人が要ります。小さな会社では営業の責任者や経営者がその役になることが多く、週に1回、30分で十分です。
会議では、量のKPIと、渡した商談のその後を確かめます。フィールドセールスも同じ会議に出て、受け取った商談が基準に合っていたかを話すと、商談の定義のずれが早く見つかります。インサイドセールスだけの会議にしないことが、立ち上げでつまずかないためのいちばん簡単な方法です。
台本と育て方
電話の台本は、言い回しを一字一句決めるものではなく、聞く順番と、聞き漏らしてはいけない項目を決めるものです。2章で決めた商談の定義の4項目を、会話の中で自然に聞ける順に並べます。
| 順番 | 話すこと |
|---|---|
| 1 | 名乗りと、電話した理由(資料請求のお礼、セミナー参加のお礼など) |
| 2 | 今の進め方と、困っていること |
| 3 | 検討の時期と、決める人 |
| 4 | 商談の提案と、その場での日程決め |
育て方は、聞いて、やって、振り返る、の繰り返しです。最初の1〜2週間は、経験のある人の電話を横で聞き、そのあと自分でかけた電話を録音して、週に1回一緒に聞き直します。うまくいった電話の言い回しを台本に書き足していくと、担当者が入れ替わっても同じ質の会話を続けられます。録音する場合は、相手に録音していることを伝えるかどうかも社内で決めておきます。
立ち上げまでの期間
目的と定義を決め、リストとトークの台本をそろえて電話を始めるまでは、兼任で始める小さな会社なら数週間で足ります。採用から始める場合は、採用にかかる期間がそのまま上乗せされます。
電話を始めてからの最初の3か月は、数字を集めて割合を確かめる期間と考えます。最初の月の商談数が目標に届かなくても、それだけで失敗とは言えません。9章で、この3か月の見直し方を扱います。
体制ができたら、最初の接触を設計します。
最初の接触は早く、回数を決めて
反響型のインサイドセールスでは、問い合わせや資料請求があってから最初に連絡するまでの速さが、商談になるかどうかを左右します。何日以内に、何回まで連絡するかを、最初に決めておきます。
商談化率の高い企業の初動
株式会社ラクスが2025年8月に、商談化率が平均50%以上のBtoB企業でインサイドセールスやマーケティングを担当する118人に聞いた調査があります(出典: 株式会社ラクス「商談化率の高いBtoB企業が実践するインサイドセールス施策」に関する調査、2025年9月18日公表、2026年10月3日確認)。
| 質問 | 多かった回答 |
|---|---|
| リード発生から初回接触まで | 当日中 25.4%、1〜2日以内 25.4% |
| 初回接触からアポイントまでの接触回数 | 3回 25.4%、案件によって大きく異なる 21.2% |
| アポイントにつながりやすい施策 | DM 30.5%、コンテンツ配信 18.6%、ウェビナー・セミナー 17.0% |
| 商談づくりの大きな課題 | 営業リソースの不足 50.0%、リードの優先順位付け 39.0% |
半数が2日以内に最初の連絡をしていて、アポイントまでの接触は3回が最も多い結果でした。
この調査の読み方
注意したいのは、この調査が商談化率の高い企業だけに聞いている点です。商談化率の低い企業と比べていないので、「2日以内に連絡すれば商談化率が上がる」とまでは言えません。言えるのは、うまくいっている企業の半分は2日以内に動いているということです。
それでも、自社の基準を決める材料としては十分に使えます。たとえば「問い合わせには当日中、資料請求には翌営業日までに電話する」「3回つながらなければメールに切り替える」のように、数字の入った決まりにしておきます。課題の1位が人手不足だったことも、3章で人数を計算しておく理由になります。
優先順位とシナリオ
同じ調査では、66.1%がリードの優先順位付けをしていて、その際に重視する情報は、企業規模や業種、役職などの属性が62.8%、資料請求やウェビナー参加などの行動が28.2%でした。
小さな会社なら、優先順位は2段階で十分です。問い合わせや見積もりの依頼のように、相手から具体的な相談が来ているものを最優先にし、資料のダウンロードやメルマガの登録だけの相手はその次にします。シナリオも、最優先の相手には電話、次の相手にはメールで事例を送ってから電話、という程度の分け方から始めます。
電話の合間に送るメールには、守るルールがあります。
メールで追うときの特定電子メール法
インサイドセールスでは、電話の前後に事例や資料をメールで送り、メルマガで関係を続けます。こうした広告や宣伝のためのメールには、相手が企業の担当者でも特定電子メール法がかかります。立ち上げの手順を解説した記事ではほとんど触れられていませんが、リストを作る段階で知っておく必要があります。
同意なしで送れる相手
特定電子メール法は、広告宣伝のメールをあらかじめ同意した相手にだけ送れるものとしています。総務省のパンフレットは、同意がなくても送れる例外として次を挙げています(出典: 総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」、2026年10月3日確認)。
| 相手 | インサイドセールスでの例 |
|---|---|
| 取引関係にある相手 | 既存の顧客 |
| 名刺などの書面でメールアドレスを知らせてくれた相手 | 展示会やセミナーで名刺を交換した相手 |
| メールアドレスをインターネットで公表している相手 | 会社のサイトに問い合わせ先として載っているアドレス |
3つ目には条件があり、アドレスと一緒に広告メールを断る旨が公表されている場合は、同意なしに送れません。名簿業者から買ったリストや、どこにも公表されていないアドレスは、どの例外にも当たらない場合が多く、同意を取ってから送る必要があります。個人の顧客に通信販売の広告を送る場合は特定商取引法もかかり、その場合は名刺の例外も使えません。
表示と配信停止
広告宣伝のメールには、送信者の氏名または名称、受信を拒否できること、拒否を伝えるためのメールアドレスまたはURLを表示する義務があります。インサイドセールスが1通ずつ送るメールでも、資料の案内や事例の紹介が目的なら広告宣伝に当たり得るので、署名の下に配信停止の案内を入れる形にしておくと安全です。
受信を拒否された相手には、以後送れません。メール配信のツールと、担当者が手で送るメールの両方で、拒否した人を同じ一覧で管理しておかないと、ツールでは止まったのに担当者が送ってしまう、ということが起きます。送信者の情報を偽ることなどには罰則もあります。
同意の記録
同意を取って送る場合は、同意を受けたときの状況、つまりいつ、どの方法で同意を得たかの記録を残します。保存期間は、その相手に最後に広告宣伝のメールを送った日から1か月です。
実務では、資料請求やセミナー申し込みのフォームに「今後、事例やセミナーの案内をメールでお送りします」と書き、同意のチェック欄を置いて、送信日時と一緒に記録しておくのが分かりやすい方法です。名刺の交換で送る場合も、いつどこで交換したかをリストに残しておきます。電話のルールは別で、企業の担当者への電話は特定商取引法の電話勧誘販売の規制の対象外になる場合が多いことを、前に挙げたテレアポの記事で扱っています。
会話がまとまったら、商談を渡します。
商談をフィールドセールスに渡す
インサイドセールスの成果は、商談の約束を取った瞬間ではなく、フィールドセールスが話を引き継ぎ、相手が予定どおり商談に来たときに決まります。渡す情報と、日程の決め方を型にしておきます。
渡す項目のひな形
フィールドセールスが商談の前に読む情報は、次の項目で足ります。CRMや共有のシートに、この順で書く欄を作っておきます。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 会社と相手 | 会社名、部署、役職、決める立場か |
| きっかけ | 資料請求、セミナー参加、こちらからの電話など |
| 相手の言葉で聞いた課題 | 「問い合わせへの返事が遅れて失注している」など、言われたとおりに |
| 今の進め方と比べている候補 | 今使っている方法、ほかに検討している会社があるか |
| 時期と予算 | いつまでに決めたいか、予算の見込み |
| 商談で期待されていること | デモを見たい、見積もりがほしいなど |
いちばん大切なのは、課題を相手の言葉のまま書くことです。担当者が言い換えると、フィールドセールスは相手が本当に困っていることを取り違えます。
渡す項目のうち、時期とニーズの入口は、商談の予約フォームで相手に先に書いてもらうこともできます。項目の分け方はBANTの聞き方の記事にまとめました。
日程はその場で決める
電話で商談の約束が取れたら、日程はその電話の中で決めます。「担当の営業から改めて連絡します」と電話を切ると、相手の関心が冷めるうえに、候補日を往復させる手間が増え、その間に他社の話が進みます。
そのためには、インサイドセールスがフィールドセールスの空いている時間を、電話中に見られる必要があります。営業が複数いるなら、空いている人に順番に割り当てるのか、地域や業種で担当を決めるのかも決めておきます。電話の最後に予約ページのリンクを送り、相手にその場で日時を選んでもらう方法もあります。
リスケと戻し
商談の日程が変わることは珍しくありません。2章の「戻し方」で決めたとおり、日程変更の連絡を誰が受けるかを決めておきます。相手が自分で日程を変えられるリンクを確定のメールに入れておくと、連絡の行き違いが減ります。
商談に相手が来なかった場合や、商談のあとで検討が止まった場合は、インサイドセールスに戻して、時期を決めて連絡し直します。戻ってきた商談の数と理由は、商談の定義を見直す材料になります。
渡す仕組みには、ツールが要ります。
ツールは最小限から
インサイドセールスのツールとして、顧客を管理するCRM、商談を管理するSFA、メールの配信や行動の記録を行うMAが挙げられます。小さな会社が最初から全部をそろえる必要はありません。
最初に要るもの、後でよいもの
| 段階 | 要るもの |
|---|---|
| 最初から | リストと架電の記録(共有のシートでも可)、商談の日程を決める仕組み、メールの配信停止を管理する一覧 |
| 月の商談が数十件を超えたら | CRM・SFA(担当と進み具合を一元管理する) |
| 反響が月に数百件を超えたら | MA(行動の記録と、メールの自動配信) |
ツールを先に入れても、商談の定義と渡し方が決まっていなければ、入力されない項目が増えるだけです。運用が決まってから、その運用に合うツールを選ぶ順にします。
日程の仕組みに求める3つ
商談の日程を決める仕組みは、最初から要るものの1つです。選ぶときは、次の3つを確かめます。
- フィールドセールスの予定表と連動し、空いている時間だけを出せる。電話中に日程を決めるために必要です
- 営業が複数いるなら、空いている人に自動で割り当てられる。偏りが出ないよう、均等に割り振れること
- 確定とリマインドのメールに、日程変更とキャンセルのリンクが入る。リスケの連絡を減らせます
以下では、この3つを満たすツールの一例として、SailLab を取り上げます。
SailLab(セイルラボ)

SailLab は、予約ページ・カレンダー連携・リマインドメールを1つにまとめた国産の予約システムです。
- 営業のGoogleカレンダーやOutlookの予定と照らし、空いている時間だけを予約ページに出せる
- 複数の営業に順番に割り当てる設定ができ、件数を均等にするか、人ごとに比重を変えるかを選べる
- 予約の時に、課題や検討時期などの質問に答えてもらい、その答えを商談の担当者が予約の画面で確認できる
- 確定とリマインドのメールが自動で届き、ZoomやGoogle MeetのURL、日程変更とキャンセルのリンクが入る
料金は料金ページで確認できます。営業での使い方は営業向けのページで紹介しています。インサイドセールスとフィールドセールスの間で、商談の日程を決める手間を減らしたいチームに向いたツールです。
この仕組みでできないこと
SailLab が受け持つのは、商談の日程を決めて知らせるところまでです。架電の記録、リードの優先順位付け、メールの一斉配信の機能はありません。CRMやSFAとの連携もないので、商談の記録は別のツールやシートに残す必要があります。
連絡の手段はメールだけで、SMSでのリマインドはありません。電話の最後に予約ページのリンクをメールで送り、相手が日時を選ぶと、確定のメールが相手と営業の両方に届く、という使い方になります。
動き出したら、最初の3か月で見直します。
最初の3か月で見直すこと
最初の3か月は、3章で置いた仮の割合を、実際の数字に置き換える期間です。毎週の数字で動きを確かめ、毎月の見直しで定義と人数を直します。
週ごとに見る数字
毎週見るのは、架電数、会話数、商談数の3つと、それぞれの割合です。3章の式に実際の割合を入れ直すと、必要な人数が仮の計算からどれだけずれているかが分かります。
数字が少ないうちは、1週間ごとの割合は大きく上下します。判断は4週間分をまとめてからにし、週ごとの数字は、架電の時間が確保できているかを確かめる程度にとどめます。
月ごとの見直し
月に1回、フィールドセールスと一緒に、渡した商談が受け取られた割合と、成約までの進み具合を見ます。受け取られなかった商談が多ければ、商談の定義を見直します。成約が少なければ、渡す前に聞く項目が足りていない可能性があります。
あわせて、メールの配信停止の一覧と、同意の記録が残っているかも確かめます。ルールの確認を月の見直しに組み込んでおくと、担当者が変わっても抜けません。
よくある失敗
| 失敗 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 目的が複数ある | 何を優先して電話するかが人によって変わる | 最初の半年は目的を1つにする |
| 量だけを追う | 商談は増えるが、受け取られず成約もしない | 質のKPIを毎月見る |
| フィールドセールスと話さない | 商談の定義がずれたまま放置される | 同じ会議で、渡した商談のその後を見る |
| 兼任の架電が後回しになる | 月末に架電数が足りないことに気づく | 架電の時間を予定表に固定する |
最後に、来月から始める順番です。
来月から始める5つ
5つは、この順に進めると前の手順で決めたことが次の手順の前提になります。
- 目的を1つ、数と期限の入った形で書く。「問い合わせからの商談を月20件にする」のように
- 商談の定義と戻し方を、フィールドセールスと決める。会社、立場、課題、時期の4項目で
- 3章の式で人数を計算し、架電の時間を予定表に固定する。1人未満なら兼任で始めます
- メールのリストの出どころを確かめ、配信停止の一覧を作る。名刺、問い合わせ、公表アドレスのどれかを記録します
- 商談の日程を電話の中で決められるようにする。フィールドセールスの空いている時間が見える状態にします
複数の営業の予定をそろえて商談の枠を出す方法は複数人で日程を決める方法で、電話での話し方はテレアポで断られにくい話し方で詳しく読めます。
商談の日程を電話の中で決める予約ページを作ってみる場合は、無料アカウントから作成できます。クレジットカード登録は不要です。
中村 遼 / SailLab 編集部
SailLab 編集部で、営業・採用の日程調整、面接や説明会の受付、士業やコンサルタントの相談の受け方についての記事を担当しています。