選考で見送った応募者に、結果を伝えないままにしている会社は少なくありません。HR総研が2017年3月に行った新卒採用の調査では、従業員1001名以上の企業の36%が、書類選考の不合格者に連絡していませんでした。[1]面接まで進んだ応募者に対しても、大手の23%が連絡をしていません。
連絡を省いても、会社の側ですぐに困ることはないかもしれません。ただ、応募者は結果が分からないまま次の選考の予定を決められず、その間の扱われ方で会社を判断しています。この記事では、小さな会社で採用を担当する人が、いつ、何を書いて、どう送るかを、選考の段階ごとの例文と、応募書類の扱いを決めている職業安定法の指針とあわせて確かめていきます。読み終えるころには、次の応募者に送る通知を、そのまま書き始められるはずです。
この記事の結論
不採用通知は、面接で伝えた期限までにメールで送り、応募へのお礼、選考の結果、応募書類の扱いの3つを短く書きます。具体的な理由は書かないのが一般的です。職業安定法の指針は、応募者の個人情報を集めた目的の範囲で保管し、不要になれば破棄や削除をするよう求めており、今後の募集のために書類を残すなら本人の同意が要ります。
目次
面接の進め方や日程の調整は、営業・採用チーム向けリソース集にもまとめています。
不採用通知を送らない会社と、受け取る側の見方
不採用の連絡をしないことは、多くの応募者が経験しています。応募者は合否だけでなく、連絡の早さと書き方で会社を見ています。まず、連絡しない会社がどれくらいあるかを確かめます。
連絡しない会社の割合
HR総研が2018年度の新卒採用について企業に聞いた調査(2017年3月)では、書類選考の合否を応募者全員に連絡していた企業は71%で、29%は合格者にだけ連絡していました。[1]
| 選考の段階 | 不合格者に連絡しない企業 |
|---|---|
| 書類選考(全体) | 29% |
| 書類選考(1001名以上) | 36% |
| 面接後(大手) | 23% |
| 面接後(中堅・中小) | 1割未満 |
新卒採用の、しかも10年近く前の数字です。中途採用やアルバイトの募集を同じ割合とみなすことはできません。それでも、中堅・中小企業は面接後の連絡をほとんど欠かしていないことは読み取れます。応募の数が少ない会社では、一人ひとりへの連絡が当たり前になっている、と読むこともできます。
応募者は対応を見ている
求人広告の代理店を経営する岡田之馬さんは、応募者に向けて、応募後のやり取りに会社の採用への向き合い方が出ると書いています。気をつける例として挙げたのは、「連絡まで何日もかかる。」「毎回定型文だけが送られてくる。」といった対応で、「「選考中にどう扱われたか」も会社を判断する一つの材料です。」と結んでいます。[2]
応募する側からは、もっとはっきりした声もあります。「1週間待たされた挙句に「お祈りメール」1通で済ませて、提出させた履歴書はシュレッダー行きなのエグいよね。」[3]待たされた時間と、書類の行き先。不採用通知の不満は、文面より前の扱いに向いていることが分かります。
送ることで残るもの
採用コンサルタントとしてRPO(採用代行)を手がける人材業界のジャイアンさんは、Xで「優秀な人事ほど「不採用にした候補者への連絡(お祈りメール)」に丁寧な言葉を尽くしている。」と書き、その姿勢が口コミで広がり、次の採用力になるとしています。[4]
小さな会社では、応募者が地域のお客様や取引先の知り合いであることも珍しくありません。不採用にした人は、会社の外で会社の話をする人でもあります。では、いつ、何で送ればよいでしょうか。
いつ、何で送るか
不採用通知は、応募者に伝えた期限までに送ることが、何より先に守ることです。そのうえで、選考の段階に合わせて送る時期と手段を決めます。
伝えた期限を守る
面接の最後に「1週間以内にご連絡します」と伝えたなら、不採用でもその期限の中で送ります。応募者は、その日を基準に他社の選考の予定を立てています。期限を過ぎてから届く通知は、内容がどれだけ丁寧でも、待たせた事実のほうが残ります。
社内で合否が決まらず、期限に間に合わないと分かった時点で、「結果のご連絡が〇日になります」と先に知らせます。合否が出ていなくても、遅れる理由と新しい日付を伝えるだけで、応募者は待ち方を決められます。
選考段階ごとの目安
| 段階 | 送る目安 | 手段 |
|---|---|---|
| 書類選考 | 結果が決まってから数日以内 | メール |
| 一次・二次面接 | 面接で伝えた期限まで | メール |
| 最終面接 | できるだけ早く。伝えた期限より前でもよい | メール、事情によって電話も |
| アルバイト・パート | 面接の数日以内 | メールかSMS、応募の経路に合わせる |
選考が進んだ応募者ほど、ほかの会社の内定を保留して返事を待っていることがあります。最終面接の結果は、決まったその日のうちに送るくらいの気持ちで構いません。
メール・郵送・電話
いまの不採用通知は、メールが基本です。記録が残り、応募者がいつでも読み返せます。応募書類を郵送で受け取り、返却する約束をしている場合は、書類と一緒に郵送で通知を送ります。
電話は、最終面接まで進んだ人や、長く選考に付き合ってもらった人に、お礼を直接伝えたい場合に使います。ただ、電話だけでは内容が残らないので、電話のあとに同じ内容をメールでも送るのが無難です。送る時期と手段が決まったら、次は文面です。
不採用通知の組み立てと例文
不採用通知は、件名、宛名と名乗り、応募へのお礼、選考の結果、応募書類の扱いの5つでできています。結びに一言の励ましを添えるかどうかは、会社の考え方で決めます。
件名と5つの部品
件名は「【株式会社〇〇】選考結果のご連絡」のように、会社名と用件だけにします。「不採用のお知らせ」と件名に書く会社もありますが、受信箱の一覧で目に入る言葉なので、結果は本文で伝えるほうが受け取る側に配慮した形です。
| 部品 | 書くこと |
|---|---|
| 宛名と名乗り | 応募者の氏名、会社名、担当者名 |
| お礼 | 応募と、面接に時間を使ってもらったことへのお礼 |
| 結果 | 「今回は採用を見送ることとなりました」と一文で |
| 応募書類の扱い | 返却するか、破棄するか |
| 結び | 今後の活躍を願う一言と、担当者の署名 |
書類選考の例文
件名
【株式会社〇〇】選考結果のご連絡
本文
〇〇 〇〇 様
株式会社〇〇 採用担当の〇〇です。
このたびは、当社の〇〇職にご応募いただき、ありがとうございました。
お送りいただいた書類をもとに慎重に検討いたしましたが、今回は採用を見送ることとなりました。ご期待に沿えず申し訳ございません。
お預かりした応募書類は、当社で責任をもって破棄いたします。
〇〇様の今後のご活躍をお祈りしております。
書類選考の不採用は、応募者が会社と顔を合わせる前の連絡です。短く、事実だけを伝えるのが、相手の時間を取らない書き方です。
複数の応募者にまとめて送るときは、宛先を一人ずつにするか、BCCを使います。宛先やCCに並べて送ると、ほかの応募者の名前とメールアドレスが全員に見えてしまいます。送る前に、宛名の氏名と宛先のアドレスが同じ人のものかを一通ずつ確かめることも欠かせません。合格者に送るはずの文面を不採用者に送ってしまう取り違えは、送信前に合否の一覧と照らし合わせることで防げます。
面接後・最終面接後の例文
〇〇 〇〇 様
株式会社〇〇の〇〇です。
先日は、二次面接のためにお時間をとっていただき、ありがとうございました。〇〇の経験について、具体的にお話しいただいたことが印象に残っています。
面接の内容をもとに社内で検討いたしましたが、今回は採用を見送ることとなりました。お待たせしたうえでのご連絡となり、申し訳ございません。
お預かりした応募書類は、当社で責任をもって破棄いたします。
〇〇様のこれからのご活躍をお祈りしております。
面接まで進んだ応募者には、面接で話したことを一つだけ書くと、定型文ではないことが伝わります。最終面接まで進んだ人には、選考に使ってもらった時間の長さに触れ、お礼を少し厚くします。ただし、評価の理由に聞こえる書き方は避けます。立場の違う応募者には、書き方を少し変えます。
アルバイト・パート、郵送、電話の例文
アルバイトやパートの応募、郵送での通知、電話での連絡は、それぞれ応募の経路と、相手が受け取りやすい形に合わせます。
アルバイト・パート
〇〇 〇〇 様
〇〇店の〇〇です。先日は面接に来ていただき、ありがとうございました。
今回は、ご希望の曜日と時間帯にお願いできる枠がなく、採用を見送ることとなりました。
いただいた履歴書は、当店で責任をもって破棄いたします。
ご応募いただき、ありがとうございました。
アルバイトやパートでは、勤務できる曜日や時間帯が合わないことが見送りの理由であることも多く、その場合は本人の能力とは関係のない理由として伝えても差し支えありません。ただし、事実と違う理由を書くのは避けます。応募がアプリや求人サイト経由なら、そのメッセージ機能で送るほうが確実に届きます。
郵送
郵送では、通知の文面に日付、会社名、担当者を入れ、応募書類を返却する場合は同封します。封筒は会社名入りのものを使い、「選考結果在中」と書く会社もあります。書類を返却する約束をした場合は、返却を忘れないことが一番の注意点です。
電話
電話では、名乗ったあとに「いまお時間よろしいでしょうか」と確かめ、結果とお礼を短く伝えます。理由を聞かれた場合の答え方は、後の章の考え方と同じです。電話のあとに、同じ内容をメールで送ります。応募者が話しにくい場所にいる場合もあるので、折り返しを求めず、メールで伝えた旨を留守番電話に残す形でも構いません。ここからは、書かないほうがいいことを見ます。
書かないほうがいい3つのこと
不採用通知で迷うのは、何を書くかより何を書かないかです。次の3つは、書いた側の意図と違う受け取られ方をしやすい内容です。
具体的な理由と選考基準
多くの会社は、不採用通知に具体的な理由を書きません。理由を書くと、応募者がそれに反論したり、別の理由ではないかと考えたりして、やり取りが長くなりがちです。選考の基準を詳しく書くと、ほかの応募者との比べ方を説明することにもなります。
理由を伝えたい場合は、本人が次に生かせることに絞って一言だけにします。「今回は〇〇の経験がより長い方を優先しました」のように、応募者本人の評価ではなく、求めていた条件として書くと、受け取る側の負担が軽くなります。
同意のない「今後のご案内」
「今後、別の求人が出た際にはご連絡いたします」と書く会社もあります。気持ちは伝わりますが、それは応募書類や連絡先を残しておくことを意味します。後の章で見るとおり、応募のために集めた個人情報を別の目的に使うには、本人の同意が必要です。案内したいなら、「ご希望の場合は、今後の募集のご案内のために連絡先を保管してよいか、ご返信ください」のように、本人に選んでもらいます。
期待を持たせる言い回し
「現時点では」「今回は残念ながら」といった言い方は、次の機会があるように読めます。実際に次の機会がないなら、期待を持たせる言葉を重ねないほうが誠実です。反対に、本当にまた声をかけたい応募者には、その旨をはっきり書き、連絡先の保管について同意をもらいます。言葉を選ぶときは、次の表が目安になります。
| 書く | 書かない・言い換える |
|---|---|
| 採用を見送ることとなりました | 不合格です/不採用と決定しました |
| ご期待に沿えず申し訳ございません | 貴殿の能力が不足していたため |
| 応募書類は破棄いたします | 書類は今後の参考にいたします(同意がない場合) |
| 今後のご活躍をお祈りしております | またの機会にお願いします(予定がない場合) |
書類の扱いを書く一文は、丁寧さの問題だけではありません。次の章で、その根拠になっている指針を見ます。
応募書類と個人情報の扱い
不採用通知の多くに「応募書類は責任をもって破棄いたします」とあるのは、職業安定法とその指針が、応募者の個人情報の扱い方を決めているからです。ここでは、指針が何を求めているかを確かめます。
指針が求めていること
職業安定法の指針(平成11年労働省告示第141号)は、求職者の個人情報について次のことを定めています。[5]
- 個人情報の保管と使用は、集めた目的の範囲に限ること。ほかの目的で保管や使用をするには、目的を示して本人の同意を得ること
- 集めた目的に照らして保管する必要がなくなった個人情報を、破棄または削除するための措置を講じること
- これらの「職業紹介事業者等」には、労働者の募集を行う者や求人者も含むこと
つまり、人材紹介会社だけでなく、自社で求人を出して応募を受ける会社もこの考え方の中にいます。応募書類は採用の選考のために受け取ったものなので、選考が終われば、目的に照らして保管する必要がなくなった情報になります。この記事は法律の解説ではないので、個別の扱いに迷う場合は、ハローワークや社会保険労務士に相談してください。
返却するか、破棄するか
| 扱い | 選ぶ場面 | 不採用通知に書くこと |
|---|---|---|
| 返却する | 募集の時点で返却すると案内している | 書類を同封した旨 |
| 破棄・削除する | 返却を案内していない | 責任をもって破棄する旨 |
| 保管する | 本人の同意を得て、次の募集の案内に使う | 保管の目的と期間、同意の確認 |
メールやフォームで受け取った履歴書も、紙と同じように扱います。採用管理の表やメールの受信箱に残った応募書類も、破棄・削除の対象です。誰がいつ削除するかを決めておかないと、「破棄いたします」と書いたまま何年も残ることになります。
また声をかけたい応募者がいるとき
今回は枠がなくても、次の募集で声をかけたい応募者がいることはあります。その場合は、不採用通知の中で保管の目的と期間を書き、本人の同意を確かめます。
今回は採用を見送ることとなりましたが、〇〇の経験をお持ちの〇〇様に、来年の春に予定している〇〇職の募集をご案内できればと考えております。
ご了承いただける場合は、ご案内のために応募書類と連絡先を1年間保管いたします。保管を希望されない場合は、このメールにその旨をご返信ください。ご返信がない場合は、選考の終了とともに破棄いたします。
同意は、本人が判断できるように具体的に書きます。返事がない場合の扱いも決めて書いておくと、本人の意思と違う形で書類が残ることを防げます。通知を送ったあとに返信が来ることもあります。
理由を聞かれたとき、返信が来たとき
不採用通知を送ったあとに、応募者から返信が来ることがあります。理由を聞かれた場合、お礼が届いた場合、会社の側で事情が変わった場合で、返し方を分けておきます。
理由を聞かれたとき
理由を聞かれた場合は、会社として答える範囲を先に決めておき、それに沿って短く返します。答えない場合も、聞かれたことを無視しないことが大切です。
ご連絡ありがとうございます。
選考の内容については、個別にお答えしないこととしております。ご期待に沿えず申し訳ございません。
今回の募集では、〇〇の経験を重視して選考いたしました。〇〇様のご活躍をお祈りしております。
面接で話した内容について、本人にとって役に立つ一言があれば添えても構いません。ただし、応募者本人の欠点として書かないことと、ほかの応募者と比べた話をしないことは守ります。
お礼の返信が来たとき
「ご連絡ありがとうございました」といったお礼の返信には、返事をしなくても失礼にはなりません。返す場合は、二行ほどで十分です。やり取りを続けると、相手に返事の負担をかけることになります。
やはり採用したくなったとき
辞退者が出たり、別の枠が空いたりして、一度不採用にした応募者に声をかけたくなることがあります。その場合は、前の通知が誤りだったのではなく、事情が変わったことを正直に伝えます。
先日は採用を見送るご連絡を差し上げましたが、その後、同じ職種でもう1名を募集することとなりました。〇〇様に改めてお話をうかがえないかと考え、ご連絡いたしました。
すでに次のお仕事が決まっている場合は、お返事は不要です。
応募書類をすでに破棄している場合は、改めて提出してもらいます。面接の日程の決め方は、面接の日程調整メールの記事で例文を載せています。採用が決まった人に送る通知の文例は採用通知メールの記事に、承諾までの連絡の流れは内定辞退を防ぐ記事にまとめています。最後に、明日からやることを一つだけ挙げます。
選考の予定表に、連絡の期限を書き込む
不採用通知の書き方を整えても、送るのが遅れれば、応募者に残るのは待たされた記憶です。応募を受けた日と、結果を伝える期限を、選考の予定表の同じ行に書き込むことから始めてください。面接の最後に伝える期限も、この表の日付から決めます。
期限の日に合否が出ていなければ、遅れる旨を先に送る。結果が出たら、この記事の例文から段階に合うものを選び、書類の扱いの一文を確かめて送る。応募書類を削除した日も、同じ表に残しておきます。面接官が聞いてよいこと、聞いてはいけないことの整理は、面接官の質問の記事にまとめています。
参考資料
- HR総研「就活生が苛立つ「サイレントお祈り」 大企業の3分の1強が書類選考不合格者に連絡しないという実態」2017年6月8日公開、2018年度新卒採用に関する企業調査(2017年3月)
- 岡田之馬(@okada_kyujin)Xの投稿、2026年10月10日
- ひな(@hina_fire3)Xの投稿、2026年10月8日
- 人材業界のジャイアン(@Musketeers625)Xの投稿、2026年10月8日
- 新潟労働局 ハローワーク「指針(平成11年労働省告示第141号)(抄)」第5 法第五条の五に関する事項(2026年10月10日確認)
田口 奈津子 / SailLab 編集部
SailLab 編集部で、予約受付・事前決済・無断キャンセル対策や、教室とレッスンの運営など、対面とオンラインでサービスを提供する事業者向けの記事を担当しています。