カジュアル面談で企業が意識していることの1位は「なるべく緊張を和らげる」(77.4%)でした。一方、20代の転職希望者が好印象を持つ企業の対応の1位は「面接のような雰囲気にならないようにする」(61.8%)です。株式会社学情が2026年に企業と求職者の両方に聞いた調査で、上位2つの順番が入れ替わっていました。
この差は小さく見えて、面談の作り方を変えます。和やかに話していても、質問の中身が志望動機や強み・弱みなら、候補者にとってそれは面接です。この記事は、スカウトや応募の前の接点としてカジュアル面談を行う、人事や採用担当、現場の責任者に向けたものです。聞く質問と聞かない質問を並べる前に、何を記録し、選考に使うかという線の引き方から扱います。質問例も逆質問への答え方も、この線が決まっていれば迷わずに選べます。2026年10月から始まった求職者への配慮の義務と、面談の日程を早く決める方法もあわせて扱います。
この記事の結論
カジュアル面談では、経歴、転職活動の状況、仕事で重視すること、これからのキャリアの4つを、会話の中で聞きます。志望動機や強み・弱みのような面接の質問と、家族や私生活の質問は避けます。何を記録し選考に使うかを先に決めて最初に伝えると、候補者がいちばん嫌う「面接のような面談」を避けられます。
目次
営業と採用の進め方に関するほかの記事は、営業・採用チーム向けリソース集から探せます。この記事は法律と指針の内容を紹介するもので、個別の事案の判断は含みません。
カジュアル面談は、選考の前に互いを知る場
カジュアル面談は、選考や評価を目的とせず、企業と候補者が気軽に話して互いを知る場です。スカウトに返信してきた人や、まだ応募を決めていない人と、応募の前に会うために使われます。面接との違い、どれくらいの会社が実施しているか、誰が出るかを先に確認します。
面接との違い
| 項目 | カジュアル面談 | 面接 |
|---|---|---|
| 目的 | 互いを知る。応募するかを候補者が決める材料を渡す | 採用するかを企業が決める |
| 話す量 | 企業が多め。会社と仕事を説明する | 候補者が多め。質問に答える |
| 質問 | 候補者の状況と関心を聞く | 経験と能力を確かめる |
| 結果 | 合否はない。次に進むかを双方が決める | 合否を出す |
大事なのは最後の行です。カジュアル面談には合否がありません。次に進むかどうかは候補者も決めます。この前提を企業側が崩すと、後の章で見るように候補者の信頼を失います。
どれくらいの会社が実施しているか
学情が2026年3〜4月に企業・団体の人事担当者295人に聞いた調査では、キャリア採用でカジュアル面談を「現在実施している」企業は52.7%でした。「これから実施予定」6.2%と「現在検討中」16.4%を合わせると、前向きな企業は75.3%です。20代の転職希望者154人では、機会があれば「参加したい」「どちらかというと参加したい」が合わせて85.1%でした(出典: 株式会社学情「キャリア採用でカジュアル面談実施企業が過半数。20代求職者『参加したい』85.1%」、2026年6月1日公表、企業調査2026年3月16日〜4月10日、求職者調査は20代向け転職サイト来訪者が対象)。
実施の目的は「ミスマッチの防止」が79.7%で最も多く、「志望意欲の醸成」51.6%、「応募数を増やす」41.0%と続きます。半数を超える企業がすでに実施しているということは、候補者から見ればカジュアル面談は珍しいものではなく、比べられるものになっているということです。
誰が出るか
採用支援の会社で企業の相談に乗っている栁瀬さんは、noteに「実は、『誰が出るか』によって面談の成果は大きく変わります。」と書いています(ブライエッジ HRコンサルティング事業部のnote、2026年3月)。人事は会社全体と選考の流れを説明でき、現場の社員は仕事の中身と職場の様子を伝えられます。マネージャーや役員は、組織の方向や事業の話ができます。
小さな会社では、人事と、配属予定の部署の社員の2人で出る形が回しやすい組み合わせです。人事が流れを持ち、現場の社員が仕事の質問に答えます。2人で出ることには、後の章で見る、求職者に対する配慮の面での意味もあります。
実施する会社が増えるほど問題になるのが、選考との線の引き方です。
選考との線を、面談の前に決める
カジュアル面談の質問で迷う原因の多くは、質問の選び方ではなく、その面談が選考とどうつながるのかが社内で決まっていないことにあります。候補者が何を嫌っているか、実際にどんな声があるか、法律が何を求めているかを確かめたうえで、線の引き方を決めます。
候補者が嫌うのは「面接のような面談」
冒頭で触れた学情の調査では、企業がカジュアル面談で意識していることは「なるべく緊張を和らげる」77.4%、「面接のような雰囲気にならないようにする」67.7%、「求職者の良いところだけでなく、課題もありのまま伝える」57.6%の順でした。20代の転職希望者が好印象を持つ対応は「面接のような雰囲気にならないようにする」61.8%、「なるべく緊張を和らげる」53.4%、「課題もありのまま伝える」50.4%の順です。
企業は雰囲気を和らげることを1番に考えていますが、候補者がまず気にしているのは、それが面接になっていないかです。笑顔で迎えても、質問が「当社を選ぶ理由は」「あなたの強みは」なら、候補者にとっては面接と変わりません。雰囲気より、質問の中身と、その答えがどう扱われるかが問われています。
「実質面接だった」という声
候補者の側からは、カジュアル面談のつもりで臨んだら面接だった、という体験が多く書かれています。転職活動中の人はnoteで、企業から「これまでの経験をお聞きしながらラフに情報交換させてください」と案内されたのに、「面談と謳いながらも面接とそこまで変わりませんでした。」と振り返り、その数日後に不採用の連絡を受けたと書いています(note、2024年8月)。
別の人は、スカウトを受けた会社のカジュアル面談で「私の何に注目してスカウトを送ったのですか?」と尋ねたものの、はっきりした答えをもらえないまま一次面接に進み、そこで前提のずれがわかったと書いています(note、2024年11月)。面談で答えるべきことを答えなかった結果、候補者にも企業にも、無駄な面接が1回増えたということです。
2つの体験に共通するのは、候補者が面談の位置づけを知らされていなかったことです。合否を出すなら面接と呼び、合否を出さないなら、出さないと約束できる運用にする。その中間は、候補者から見ると不誠実に映ります。
記録して選考に使うなら、目的を伝える
面談の内容をメモに残すこと自体は、次の面接官に引き継ぐために必要な場合があります。ただし、職業安定法の第5条の5は、求人者などが求職者や労働者になろうとする者の個人情報を集めるとき、業務の目的の達成に必要な範囲で、目的を明らかにして集め、その目的の範囲で保管・使用することを求めています(本人の同意がある場合などを除く。出典: e-Gov法令検索「職業安定法」、2026年10月6日確認)。
カジュアル面談で聞いたことを、その後の選考に使うつもりがあるなら、そのことを目的として伝えておくのが筋です。「選考ではありません」と伝えたうえで、面談のメモを合否の判断に使うのは、法律の求めとも、候補者の期待ともずれます。実務では、面談の前に次のどちらかに決めておきます。
| 決め方 | 記録すること | 候補者への伝え方 |
|---|---|---|
| A. 選考に使わない | 連絡に必要なことと、候補者が知りたがったこと(次の面談で答えるため) | 「今日のお話は選考には使いません」 |
| B. 選考に進んだら引き継ぐ | 経歴と、仕事で重視すること | 「応募に進まれた場合は、今日伺った経歴を面接の担当に共有します」 |
どちらでも構いません。大事なのは、決めたことを最初に伝え、その通りに扱うことです。Bを選んだ場合も、面談の中で評価のための質問をしない点は変わりません。
冒頭で伝える一言
線を決めたら、面談の最初の1分で伝えます。たとえば「今日は選考ではなく、お互いを知るための時間です。お話の内容は選考には使いません。仕事のことでも、働き方のことでも、気になることを何でも聞いてください」。Bの場合は「応募に進まれた場合は、今日伺った経歴を面接の担当者に共有しますが、今日の時点で合否のようなものはありません」と加えます。
この一言があるだけで、候補者は質問しやすくなります。企業が先に約束を口にすることが、いちばん効く緊張のほぐし方です。線が決まれば、準備に入れます。
面談の前に準備すること
カジュアル面談の準備は、面接の準備ほど重くありません。ただし、目的と時間配分、事前に聞いておくこと、声をかけた理由の3つは、面談の前に決めておかないと、当日の会話が散らかります。
目的と時間配分を決める
同じカジュアル面談でも、スカウトへの返信者と会うのか、説明会のあとに個別に話すのか、応募を迷っている人の質問に答えるのかで、話す内容は変わります。誰と、何のために会うのかを1行で決め、30分の中の配分を決めておきます。
会社の説明に使う資料は、候補者が知りたいことに合わせて3〜5枚に絞ります。事業の説明、配属先の仕事、チームの人数と構成、働き方、選考の流れ、が基本です。全社の会社説明資料をそのまま見せると、説明だけで時間が終わります。
予約のときに聞いておくこと
面談の日時を候補者に選んでもらうとき、予約の画面で1〜2問だけ聞いておくと、当日の準備ができます。おすすめは「今日の面談で特に知りたいことはありますか」です。任意にして、書かれていなくても構わない形にします。
ここで職務経歴書の提出を求めるのは避けます。書類を出させた時点で、候補者には応募と同じ重さになるからです。経歴は、スカウトの返信やプロフィールで分かる範囲で十分です。予約のときに聞く項目の決め方は、商談の予約フォームを例にしたBANTの聞き方の記事も参考になります。
声をかけた理由を言葉にしておく
スカウトから始まった面談では、候補者はほぼ必ず「なぜ自分に声をかけたのか」を知りたがっています。先に見た体験記のように、この質問に曖昧に答えると、その後の選考でずれが表に出ます。
準備として、プロフィールのどの経験に注目したかと、それが募集しているポジションのどの仕事につながるかを、2〜3文で書いておきます。候補者に聞かれる前に、面談の冒頭でこちらから伝えると、そのまま会話の入口になります。
同席する社員に渡すメモ
現場の社員に同席してもらうときは、面談の前日に短いメモを渡します。人事にとっては当たり前のことでも、面談に慣れていない社員は、つい面接の質問をしたり、約束できないことを話したりしがちです。メモに入れるのは次の5つです。
- 候補者の名前、いまの仕事、声をかけた理由
- この面談は選考ではないこと、記録の扱い(選考に使うか使わないか)
- その社員に話してほしいこと(1日の仕事、チームの進め方など)
- 聞かないこと(志望動機、強み・弱み、家族や私生活)
- その場で約束しないこと(給与の額、配属、合否の見込み)
とくに最後の項目は大切です。社員が好意から「〇〇さんなら大丈夫ですよ」と言うと、候補者はそれを合格の見込みとして受け取ります。現場の言葉は、人事の言葉より重く受け取られることを、同席する社員に伝えておきます。準備ができたら、当日の質問です。
企業が聞く質問
カジュアル面談で企業が聞くのは、候補者を評価するためではなく、候補者に合う情報を渡すための質問です。聞いた答えに合わせて、次に話す会社の説明を変えます。目的別に質問を並べ、最後に新卒・中途・職種での聞き分けを表にします。
最初の5分
最初は、候補者の今日の目的を確かめます。
- 「今日はどんなことが分かるとよさそうですか」
- 「当社のことは、どのあたりまでご覧になっていますか」
- 「今日はお仕事の合間ですか。時間は30分で大丈夫ですか」
1つ目の答えが、その日の会話の軸になります。予約のときに「知りたいこと」を書いてもらっていれば、それを読み上げて確かめる形にします。天気や出身地のような雑談は、相手によっては負担になります。相手の目的を聞くことが、いちばん自然な入り方です。
経歴とスキル
経歴は、確かめるためではなく、話をつなぐために聞きます。
- 「いまはどんなお仕事をされていますか。1日の流れで言うとどんな感じですか」
- 「いまのチームは何人くらいで、どんな役割を担っていますか」
- 「最近の仕事で、面白かったことは何ですか」
答えを聞いたら、当社でいえばどの仕事に近いかを返します。「その経験は、うちだと〇〇の仕事に近いです」と返せると、候補者は自分が働く姿を想像できます。「その仕事で成果を出すために何をしましたか」のような深掘りは、面接の質問なので、ここでは避けます。
転職活動の状況と重視すること
- 「いま、転職はどのくらい具体的に考えていますか。情報収集の段階ですか」
- 「次の職場を選ぶときに、大事にしたいことは何ですか」
- 「いまの職場で、変えたいと思っていることはありますか」
転職の時期を聞くのは、評価のためではなく、次の案内の仕方を決めるためです。情報収集の段階の人に選考の日程を迫ると、面談は営業になります。重視することへの答えは、その後の会社の説明で、どの話を厚くするかを決める材料にします。
これからのキャリア
- 「数年後に、どんな仕事をしていたいですか」
- 「身につけたいと思っている経験はありますか」
キャリアの答えに対しては、当社で実現できることと、できないことを両方伝えます。できないことを先に言っておくと、入社後のずれが減ります。カジュアル面談の目的の1位が「ミスマッチの防止」なら、合わないことを伝えるのも面談の仕事です。
新卒・中途・職種での聞き分け
| 相手 | 重点を置く質問 | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 新卒の学生 | 関心のある仕事、仕事を選ぶ軸、学業や活動で面白かったこと | 学業の成績を細かく聞く。就職活動のほかの会社の選考状況を詳しく聞く |
| 中途(同じ職種) | いまの仕事の進め方、チームの規模、変えたいこと | 年収の交渉を始める |
| 中途(未経験の職種) | なぜその仕事に関心を持ったか、いまの仕事との共通点 | 未経験であることを確かめるだけで終わる |
| エンジニア・専門職 | 使っている技術や道具、チームの開発の進め方 | 技術試験のような質問をする |
どの相手でも、質問は5〜6個で十分です。残りの時間は、相手の答えに合わせた会社の説明と、相手からの質問に使います。
オンラインで行う場合は、聞き方にも少し工夫が要ります。画面越しでは、相手が話し終えたかどうかが分かりにくく、質問が重なりがちです。1つ聞いたら、相手が話し終えるまで2〜3秒待つくらいの間を取ります。カメラの映りや自宅の様子に触れる雑談は、候補者によっては負担になるので避けます。資料を画面で共有するときは、話しながら相手の表情が見えなくなるので、1枚ごとに「ここまでで気になるところはありますか」と区切ります。聞く質問と同じくらい大切なのが、聞かない質問です。
聞かない質問と、1対1で会うときの決まり
カジュアル面談で避けるべき質問は、面接にしてしまう質問と、選考でも聞いてはいけない質問の2種類です。さらに2026年10月からは、求職者と会う場面での配慮が事業主の義務になりました。順に確認します。
面接にしてしまう質問
- 「当社を志望する理由は何ですか」:まだ志望していない人に聞く質問ではありません
- 「あなたの強みと弱みを教えてください」:評価のための質問です
- 「その経験で、具体的にどんな成果を出しましたか」:深掘りは面接で行います
- 「他社の選考はどこまで進んでいますか」:答えを強いると、圧力として受け取られます
これらの質問を受けた候補者は、面談が選考に変わったと感じます。聞きたくなったら、それは応募に進んでもらってから聞く質問だと考えてください。
選考で聞いてはいけないことは、面談でも聞かない
厚生労働省は、公正な採用選考の観点から、本籍・出生地、家族の職業や収入、住宅の状況、宗教、支持政党、尊敬する人物、愛読書など、本人の適性や能力と関係のない事項を応募者に尋ねないよう求めています。カジュアル面談は選考ではないから聞いてよい、ということにはなりません。雑談のつもりの「ご実家はどちらですか」「ご家族は」も同じです。
厚生労働省が挙げる14の事項の一覧と、ハローワークが把握した指摘の内訳は、面接官の質問の記事にまとめています。結婚や出産の予定、恋人の有無のような私生活の質問も、性別による差別や、後で見るハラスメントにつながるので避けます。
1対1で会うときの決まり
2026年10月1日から、改正男女雇用機会均等法により、すべての事業主に求職者へのセクシュアルハラスメントを防ぐ措置が義務づけられました。厚生労働省の施行通達は、対象となる人に、採用面接を受ける人のほか「就職説明会、インターンシップ、OB・OG訪問…などの活動に参加している者」を挙げています。カジュアル面談は名指しされていませんが、選考の前に社員が候補者と会うという点で、これらに近い場面です。
同じ通達は、求職者と社員が個別に連絡を取り、1対1で面会する場面は問題が起きやすいとして、事業主があらかじめ面談のルールを決めて周知することを方針に盛り込むよう求めています。体制の例には、面談を社員が複数人で行うことが挙げられています(出典: 厚生労働省「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律…の施行について」雇均発0424第1号、令和8年4月24日)。
カジュアル面談に当てはめると、決めておきたいのは次の4つです。
- 面談は原則2人で出るか、オンラインで行い、1人で会う場合は日時と場所を社内で共有する
- 連絡は会社のアドレスや採用の窓口から行い、社員の個人のSNSや連絡先は使わない
- 食事やお酒の席での面談はしない、または事前に会社の承認を取る
- 候補者が困ったときの相談先を、面談の案内に書いておく
面談では、候補者からの質問にも答えます。次は逆質問への答え方です。
逆質問への答え方
カジュアル面談の後半は、候補者からの質問に答える時間です。ここでの答え方が、応募に進むかどうかを決める材料になります。よく出る質問への答え方と、答えにくい質問、その場で答えられないときの対応を示します。
よく出る逆質問と答え方
| 候補者の質問 | 答えに入れること |
|---|---|
| 入社したら、最初の3か月は何をしますか | 最初の仕事の例、誰が教えるか、いつから1人で担当するか |
| チームの雰囲気はどうですか | 人数、年齢や経歴の幅、会議の頻度など、事実で答える |
| どんな人が活躍していますか | 具体的な社員の仕事ぶりを1人分、名前は出さずに |
| 評価や昇給の仕組みは | 評価の時期、誰が評価するか、何で決まるか |
| リモートワークや残業の実態は | 平均ではなく、そのチームの実際の週の過ごし方 |
| このポジションを募集している理由は | 増員か欠員か、どちらでも正直に |
「雰囲気は良いです」「みんな仲が良いです」のような感想では、候補者は判断できません。数字や、1日の過ごし方のような事実で答えると、話の信頼度が上がります。
答えにくい質問
「前の担当者はなぜ辞めたのですか」「仕事でいちばん大変なことは何ですか」のような質問には、ごまかさずに答えます。学情の調査で、課題もありのまま伝えることは、企業の57.6%が意識し、求職者の50.4%が好印象を持つ対応に挙げています。
答え方の型は、事実、その理由、いまの対策の順です。たとえば「前任者は、業務が増えたのに人が増えず、負担が重くなって退職しました。今回は1人ではなく2人を採用して、仕事を分ける予定です」。課題をそのまま言うだけでなく、何をしているかまで伝えると、隠すより信頼されます。
その場で答えられないとき
給与の幅や、別の部署の事情など、その場で答えられない質問もあります。そのときは「確認して、明日までにメールでお送りします」と期限を決めて答え、必ず守ります。約束どおりに届く回答は、面談の印象を1つ上げます。
答えられなかった質問は、予約のときに聞いた「知りたいこと」と一緒に記録しておき、次に面談する人に共有します。同じ質問に2回答えられないことが、いちばん信頼を失うからです。最後に、当日の流れと終わったあとです。
当日の流れと、終わったあと
カジュアル面談は30分から45分で行う会社が多くあります。ここでは30分の配分と、次の段階の案内、選考に進まないときの連絡を示します。
30分の流れ
| 時間 | すること |
|---|---|
| 0〜3分 | 自己紹介、面談の位置づけと記録の扱いを伝える |
| 3〜8分 | 今日知りたいことを確かめる。声をかけた理由を伝える |
| 8〜15分 | 候補者のいまの仕事と、重視することを聞く |
| 15〜23分 | 答えに合わせて、会社と仕事を説明する |
| 23〜28分 | 候補者からの質問に答える |
| 28〜30分 | 次の段階を案内する |
候補者に話してもらう時間は、全体の3分の1程度にします。企業が多めに話すのがカジュアル面談で、候補者が多く話す面接とはここが逆になります。
次の段階を案内する
面談の最後には、次に何ができるかを案内します。応募に進む場合の選考の流れ、ほかの社員と話す機会、職場の見学などです。その場で返事を求めず、「検討して、進みたい場合はこちらからご予約ください」と、候補者が自分で次の日時を選べる形にしておくと、迷っている人も動きやすくなります。
面談のお礼は、その日のうちにメールで送ります。面談で答えきれなかった質問の回答や、話に出た資料も一緒に送ると、面談の内容が候補者の手元に残ります。
社内で共有するのは、冒頭で伝えた扱いの範囲だけです。「選考に使わない」と決めた面談なら、残すのは連絡先、候補者が知りたがったこと、次の案内の内容まで。「選考に進んだら引き継ぐ」と決めた面談なら、経歴と仕事で重視することを加えます。面談の印象や「良さそう」「合わなそう」といった評価は、どちらの場合も書かないのが、候補者に伝えた約束を守る書き方です。
選考に進まないときの連絡
候補者が応募しないと決めた場合も、企業側が合わないと判断した場合も、連絡は必ず入れます。カジュアル面談には合否がないので、企業から見送る場合も「不採用」という言葉は使いません。「今回は、お話を伺ったうえで、いま募集しているポジションでは〇〇さんの希望に沿うのが難しいと考えています」と、理由を添えて伝えます。
連絡をしないまま終わらせると、候補者は面談が選考だったと受け取ります。見送りの連絡まで含めて、面談の約束です。選考に進んだ応募者を見送るときの文面は、不採用通知の例文の記事で段階ごとに載せています。面談の数が増えると、日程の調整がいちばんの手間になります。
スカウトの返信から日程を決める
カジュアル面談は、1件ずつ、候補者の都合に合わせて設定します。スカウトに返信が来てから面談の日程が決まるまでに日数がかかると、その間に候補者はほかの会社と話を進めます。返信から面談までを短くすることと、そのための予約の仕組みを整理します。
返信から面談までを短くする
候補者に「ご都合のよい日時を3つ教えてください」と送り、返事を待ち、社内の担当者の予定と照らし合わせる。この往復で2〜3日かかり、担当者が2人なら、さらに時間がかかります。スカウトへの返信には、その返信の中で日時を選べる予約ページのリンクを送るのが早道です。
候補者は在職中のことが多いので、平日の夜や昼休みの時間帯も選べるようにしておくと、面談の数が増えます。オンラインの面談なら、移動がないぶん30分の枠を細かく出せます。
予約ページに求めること
- スカウトを送った人だけが開ける、非公開のリンクを作れる
- 人事と現場の社員の2人が空いている時間だけを候補者に見せられる
- オンライン会議のURLと、前日のリマインドが自動で届く
- 予約のときに「知りたいこと」を任意で聞ける
SailLab(セイルラボ)
以下では、この4つを満たすツールの一例として、SailLab を取り上げます。

SailLab は、予約ページ・カレンダー連携・リマインドメールを1つにまとめた国産の予約システムです。
- 予約ページの公開範囲を選べ、URLを知っている人だけが使えるリンクや、1回予約されると使えなくなるリンクを作れます
- 人事と現場の社員など、複数の担当者全員が空いている時間だけを候補者に見せる予約ページを作れます
- ZoomやGoogle Meet、TeamsのURLを予約ごとに発行し、確認とリマインドのメールを自動で送ります
- 予約ページごとに受付フォームを付け、「今日の面談で知りたいこと」などを任意で聞けます
採用での使い方は採用向けのページで紹介しています。料金は料金ページで確認できます。スカウトの返信から、やり取りなしでカジュアル面談の日程を決めたいチームに向いたツールです。
できないこと
できないことも書いておきます。SailLab は採用管理システムではありません。スカウトの送信、候補者の選考状況の管理、面談記録の共有の機能はなく、通知もメールだけです。ATSとの連携もないので、面談の記録は、お使いの採用管理システムやシートに残す必要があります。
説明会のように、1つの時間に大勢を集める形のカジュアル面談なら、定員付きのイベント予約で受けられます。ただ、候補者同士の顔が見える場になるため、1人ずつ話す面談とは目的を分けて考えてください。最後に、面談の前日に見直す項目をまとめます。
面談の前日に見直す10項目
カジュアル面談の前日に、次の10項目を確かめておくと、当日の会話が面接に寄りません。
- この面談で聞いた内容を、選考に使うか使わないかを決めた
- 決めたことを、冒頭で伝える一言にした
- 声をかけた理由を、2〜3文で書いた
- 候補者が予約のときに書いた「知りたいこと」を読んだ
- 説明資料を3〜5枚に絞った
- 聞く質問を5〜6個に絞り、志望動機と強み・弱みを外した
- 家族、出身地、私生活に触れる質問を外した
- 出る人を決め、1人で会う場合は社内に日時と場所を共有した
- 答えにくい質問(前任者が辞めた理由、大変なこと)への答えを用意した
- 次の段階の案内と、候補者が自分で予約できるリンクを用意した
面接に進んだあとの質問の組み立ては構造化面接と評価シートの記事、内定までの日数を縮める考え方は内定辞退の防止の記事が参考になります。カジュアル面談の予約ページを作ってみる場合は、無料アカウントから作成できます。クレジットカード登録は不要です。
中村 遼 / SailLab 編集部
SailLab 編集部で、営業・採用の日程調整、面接や説明会の受付、士業やコンサルタントの相談の受け方についての記事を担当しています。