面接1回あたり平均40分。Googleが、事前に用意した質問と評価手続きを使う構造化面接に切り替えて短縮できたと報告している時間です。同じ報告では、不採用になった応募者の満足度も、構造化面接を受けた人のほうが35%高かったとされています。
一方で、構造化面接を取り入れたつもりでも、評価シートが「コミュニケーション力 1〜5」のような項目と点数だけになっていると、面接官ごとに3の意味が違い、結局は印象で決まります。この記事では、構造化面接の考え方と作り方の手順を整理し、点数ではなく回答の例を書く評価シートと、面接官どうしのすり合わせ方を、記入例とあわせて紹介します。
この記事の結論
構造化面接は、同じ職種の応募者全員に同じ質問をし、事前に決めた基準で採点する面接です。厚生労働省も、質問と評価基準をあらかじめ決めておくよう求めています。評価シートは「コミュニケーション力1〜5」ではなく、質問ごとに悪い・あいまい・良い・優れた回答の例を書いておくと、面接官ごとの差が小さくなります。Googleはこの方法で面接1回あたり平均40分短縮したと報告しています。
目次
面接や説明会の日程調整の進め方は、営業・採用チーム向けリソース集にまとめています。
構造化面接は、同じ質問・同じ基準・事前の決定
構造化面接とは、同じ職種の応募者全員に同じ質問をし、同じ尺度で回答を採点し、事前に決めた要件にもとづいて採否を決める面接です。反対に、面接官がその場で質問を考え、印象で合否を決めるやり方を非構造化面接と呼びます。
Googleの採用ガイドは、構造化面接の要素を次の4つにまとめています(出典: Google re:Work 採用ガイド(構造化面接)、2026年10月3日確認)。
- 職務に関係があり、吟味された質問をする。難問や奇問は使わない
- 応募者の回答についてのフィードバックを文書に残す
- 良い回答と劣った回答の例を共有し、決まった手順で採点する
- 面接官にトレーニングを行い、評価をそろえる
これは日本の公正な採用の考え方とも重なります。厚生労働省は、面接の質問事項はあらかじめ決め、職務の遂行に必要な適性と能力を評価する内容にすること、評価基準をあらかじめ決めて、できるだけ客観的かつ公正に評価することを求めています。複数の面接官で行う場合は、全員の考え方をそろえておくことも挙げられています(出典: 厚生労働省「採用選考の具体的な方法」、2026年10月3日確認)。
取り入れると何が変わるか
Googleは、社内のいくつかのグループで構造化面接を試し、その結果を公開しています。採用した社員の入社後の評価と面接時の点数を比べると、構造化面接のほうが職務での成果をよく予測できました。準備した質問と評価の手順を使うことで、面接1回あたりの時間は平均40分短くなったとされています。
応募者の受け止め方も変わりました。構造化面接を受けて不採用になった応募者は、そうでない面接で不採用になった応募者より、満足度が35%高かったと報告されています。採用されなかった人が「きちんと見てもらえた」と感じるかどうかは、会社の評判にも、次の募集にも関わります。見送る応募者に送る文面と応募書類の扱いは、不採用通知の例文の記事にまとめています。
反対に、Googleがやめたものもあります。「ジャンボ機にゴルフボールはいくつ入るか」のような難問や奇問は、入社後の成果をほとんど予測しなかったため、評価には使わなくなったとしています。
5つの手順で作る
構造化面接は、質問を作る前の準備で質が決まります。少人数の会社でも、次の順に進めれば進め方に迷いません。
- 職務で必要な力を3〜5つに絞る。その職種でうまくいっている社員の仕事ぶりを、現場の人と一緒に書き出します
- 力ごとに質問を1〜2問決める。過去の経験を聞く行動質問(「〜のときのことを話してください」)と、仕事の場面を示す仮定の質問(「もし〜だとしたら、どうしますか」)を組み合わせます
- 深掘りの質問を先に用意する。「そのとき、あなたが判断したことは何ですか」「結果はどうなりましたか」など、全員に同じ深掘りをします
- 質問ごとに4段階の回答例を書く。次の章の見本のように、点数ではなく回答の中身で基準を書きます
- 面接官で試し採点をして、基準を直す。同じ回答を別々に採点し、ずれた質問の基準を書き直します
質問の具体例は面接官の質問集にまとめています。応募者の多くがAIで答えを準備してくる今、その答えを見極める聞き方はAI面接の導入を考える記事で扱っています。応募者どうしで質問が共有されることもあるため、Googleは質問を定期的に更新することも勧めています。
評価シートには、点数より回答の例を書く
よくある評価シートは、「協調性」「主体性」などの項目に1〜5の点をつける形です。これでは、ある面接官の3と別の面接官の3が同じ意味になりません。質問ごとに、悪い・あいまい・良い・優れた回答がどんな内容かを書いておくと、点数の意味がそろいます。Googleはこの基準表をルーブリックと呼んでいます。
たとえば、人と仕事を進める力を見る行動質問なら、次のように書きます。
質問:考えの合わない相手と仕事を進めた経験を教えてください
| 評価 | 回答の例 |
|---|---|
| 1 劣る | 具体的な場面が出てこない。相手のせいで終わる |
| 2 あいまい | 場面はあるが、本人が何をしたかが「話し合った」で止まる |
| 3 良い | 相手の考えを確かめ、自分の案を変えた点や合意の中身が具体的に言える |
| 4 優れた | 3に加えて、その経験から次に変えたやり方まで説明できる |
営業職の仮定の質問なら、次のようになります。
質問:契約更新の1か月前に、担当顧客から「他社に切り替えるかもしれない」と言われました。まず何をしますか
| 評価 | 回答の例 |
|---|---|
| 1 劣る | すぐに値引きを提案する |
| 2 あいまい | 理由を聞くとは言うが、何を確かめるかが出てこない |
| 3 良い | 理由、比較している相手、決める人と時期を確かめてから対応を決める |
| 4 優れた | 3に加えて、社内の誰に相談し、いつまでに何を返すかまで示せる |
この表は記入例で、自社の職種に合わせて書き換えて使います。シートには、質問ごとの点数と、その点にした理由を応募者の発言のまま1〜2行で残す欄を設けます。理由が書いてあれば、あとから別の人が評価を確かめられます。
シートに入れてはいけない項目もあります。家族や出身地、尊敬する人物など、厚生労働省が就職差別につながるおそれがあるとしている事項は、評価の欄にも面接のメモにも入れません。
面接官のすり合わせは、別々に採点してから話す
面接官のトレーニングで効果が大きいのは、同じ回答を各自で採点し、その差を話し合うことです。話し合ってから採点すると、声の大きい人の評価に寄ってしまいます。
- 過去の面接のメモや、社員に答えてもらった回答を2〜3件用意する
- 面接官それぞれが、ルーブリックだけを見て採点する
- 点が1以上ずれた質問について、どの言葉を根拠にしたかを出し合う
- 基準の書き方があいまいだった箇所を書き直す
本番の面接でも同じで、複数で面接したときは、各自が採点を書き終えてから話し合います。評価をそろえる作業は1回で終わりではなく、新しい面接官が加わるたびに繰り返します。
同じ面接官で、全員を面接する
構造化面接の効果は、比べる条件がそろっているほど高くなります。同じ職種の応募者は、できるだけ同じ顔ぶれの面接官で面接すると、面接官による差も小さくなります。そのためには、決まった面接官の空きが重なる時間に、応募者の予定を合わせる必要があります。
以下では、その調整を任せられるツールの一例として、SailLab を取り上げます。
SailLab(セイルラボ)

SailLab は、予約ページ・カレンダー連携・リマインドメールを1つにまとめた国産の予約システムです。
- 面接官を必須と任意に分けて指定でき、必須の全員が空いている時間だけを応募者に表示する
- 一次面接は空いている面接官に順番に割り当てるなど、面接の段階ごとに設定を分けられる
- 予約フォームの項目を面接ごとに決められ、全員に同じことを事前に聞ける
- 確認とリマインドのメールには、ZoomやGoogle MeetのURLと日程変更のリンクが入る
できないことも書いておきます。SailLab には評価シートや採点の機能はなく、採用管理システムの代わりにはなりません。評価はスプレッドシートなどで管理し、SailLab は面接の日程に使う形になります。料金は料金ページで確認できます。採用での使い方は採用向けのページで紹介しています。
2週間で始める順番
すべての職種を一度に変える必要はありません。次に募集する1職種で、次の順に始めてみてください。
- 1〜3日目:現場の人と、その職種で必要な力を3〜5つに絞る
- 4〜7日目:力ごとの質問と深掘りを決め、4段階の回答例を書く
- 8〜10日目:面接官で試し採点をして、ずれた基準を書き直す
- 11〜14日目:面接官の顔ぶれを決め、応募者が日時を選べる予約ページを用意する
質問そのものと聞いてはいけない事項は面接官の質問集、面接官が3人、4人と増えたときの日程の決め方は複数人で日程を決める方法にまとめています。
次の募集から面接の予約ページを使ってみる場合は、無料アカウントから作成できます。クレジットカード登録は不要です。
中村 遼 / SailLab 編集部
SailLab 編集部で、営業・採用の日程調整、面接や説明会の受付、士業やコンサルタントの相談の受け方についての記事を担当しています。