面接の冒頭、緊張した様子の応募者に、場を和ませようと声をかける。「ご実家はどちらですか」「ご家族はどんなお仕事を」。悪気のない一言ですが、厚生労働省が就職差別につながるおそれがあるとして挙げている質問に当たります。
応募者から「適性や能力と関係のないことを聞かれた」と指摘があり、令和6年度にハローワークが把握した854件のうち、もっとも多かったのが家族に関する質問で41.8%でした。厚生労働省は、面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いと注意を促しています。この記事では、人事の専任がいない会社でもそのまま使える面接官の質問30問と、聞いてはいけない14事項、聞きたいことを仕事の条件として聞き直す方法、2026年10月から始まった新しい義務をまとめます。
この記事の結論
面接官の質問は、職務に必要な力を3〜5つ決め、全員に同じ順で聞くのが基本です。避けたいのは、厚生労働省が挙げる「家族」「本籍・出生地」「尊敬する人物」「愛読書」など14事項で、令和6年度にハローワークが把握した854件の41.8%は家族に関する質問でした。2026年10月からは、求職者へのセクハラ防止措置も全事業主の義務です。
目次
面接や説明会の日程調整の進め方は、営業・採用チーム向けリソース集にまとめています。
質問は、何を確かめるかを先に決める
質問を集める前に、その職種で入社後に必要になる力を3〜5つに絞ります。質問はその力を確かめるための道具で、面白い質問を並べても、何を見たいかが決まっていなければ合否の理由になりません。
決めた観点ごとに質問を2〜3問用意し、どの応募者にも同じ順で聞きます。答えを聞いたら、その場で次の3つを深掘りします。
- 状況:いつ、どんな立場で、何人くらいの仕事だったか
- 行動:その中で、本人が何を判断し、何をしたか
- 結果:どうなったか。数字で言えるか、次に何を変えたか
「チームで頑張りました」で止まる答えは、本人の行動がまだ見えていません。「そのとき、あなたが決めたことは何ですか」と聞き直すと、経験の中身が分かります。AIで準備した答えへの聞き直し方はAI面接の記事にもまとめています。応募者ごとに質問を変えないのは、比べるためでもあり、本人の適性や能力と関係のない話題に流れないためでもあります。答えの採点のしかたは構造化面接と評価シートの記事で解説しています。
そのまま使える面接官の質問30
多くの職種に共通する5つの観点で、6問ずつ並べました。職種に合わせて観点を入れ替え、1回の面接では各観点から2〜3問を選んで使います。
経験と成果
- これまでの仕事で、成果を出せたと思う仕事を1つ教えてください
- その仕事の結果を、数字で表すとどうなりますか
- うまくいかなかった仕事と、そのあと変えたことを教えてください
- いまの仕事で、いちばん時間を使っている業務は何ですか
- 任されていた範囲を、人数や予算、担当顧客の数で教えてください
- 応募した仕事のうち、すぐにできることと学ぶ必要があることは何ですか
考える力と問題への対応
- 仕事で予想外の問題が起きたとき、最初に何をしましたか
- 情報が足りないまま決めなければならなかった場面はありますか
- 仕事の優先順位がぶつかったとき、どう決めましたか
- やり方を変えるきっかけになった失敗はありますか
- 上司と意見が分かれたとき、どう進めましたか
- 当社の仕事で起こりがちな場面を1つ示し、まず何を確認するかを聞く
人との仕事の進め方
- チームで進めた仕事で、あなたの役割は何でしたか
- 考えの合わない相手と仕事を進めた経験を教えてください
- 専門外の人への説明で伝わらなかったとき、どう言い換えましたか
- 後輩や新人に仕事を教えたことはありますか
- 顧客や取引先とのやり取りで、気をつけていることは何ですか
- 周りに助けを求めた場面を教えてください
志望動機と入社後の期待
- 当社のどの仕事に関心を持ちましたか
- 入社して1年後に、どんな状態になっていたいですか
- 仕事を選ぶうえで、譲れない条件は何ですか
- 前の職場で続けたかったことと、変えたかったことは何ですか
- この仕事のどんな点が大変そうだと思いますか
- 差し支えない範囲で、ほかの選考の状況を教えてください
仕事の条件の確認
- 勤務時間と休日の条件(例:月2回の土曜出勤)に対応できますか
- 月20時間程度の残業がありますが、問題はありますか
- 転勤や出張の可能性がありますが、条件として問題はありませんか
- 入社できる時期はいつごろですか
- 業務に必要な資格や免許(例:普通自動車免許)はお持ちですか
- 最後に、聞いておきたいことはありますか
冒頭の雑談は、仕事と面接の話から入れば十分です。「場所はすぐに分かりましたか」「面接は45分ほどの予定です」「応募書類にあった○○の仕事を、まず簡単に教えてください」。出身地や家族を話題にする必要はありません。上位に表示される質問集の中にも、アイスブレイクの例として出身地を尋ねる質問が載っているものがありますが、次の14事項の「本籍・出生地に関すること」に触れるおそれがあります。
聞いてはいけない14事項と、4割を占める家族の質問
厚生労働省は、本人の適性や能力に関係のない事項を応募書類や面接で把握することは就職差別につながるおそれがあるとして、次の14事項を挙げています。「尊敬する人物」や「愛読書」のように、面接でよく使われてきた質問も含まれます。
| 分類 | 把握してはいけない事項 |
|---|---|
| 本人に責任のない事項 | 本籍・出生地、家族(職業・続柄・健康・学歴・収入など)、住宅状況、生活環境・家庭環境 |
| 本来自由であるべき事項 | 宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合や学生運動など、購読新聞・雑誌・愛読書 |
| 採用選考の方法 | 身元調査、合理的な必要性のない健康診断、適性・能力に関係のない事項を含む応募書類の使用 |
同じページには、令和6年度にハローワークが把握した854件の内訳が載っています。家族に関すること41.8%、思想・信条9.4%、住宅状況8.4%、本籍・出生地7.1%、健康診断0.7%、その他32.6%です(出典: 厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」、2026年10月3日確認)。14事項は例で、これらに限られるわけではないとも書かれています。
結婚や出産の予定についての質問にも注意が必要です。男女雇用機会均等法の指針は、結婚の予定や子どもが生まれた場合の就労継続の希望を女性にだけ聞くことを差別の例に挙げています(出典: 厚生労働省告示第614号)。男女の両方に聞けば法律には違反しないとされていますが、厚生労働省は、適性や能力を基準にした公正な採用の観点からは、こうした質問をすること自体が望ましくないとしています。
確かめたいことは、仕事の条件として聞き直す
家族や住まいの質問の多くは、本当は「この条件で働けるか」を知りたくて出てくるものです。そうであれば、家庭の事情ではなく、仕事の条件を示して答えてもらえば、知りたいことは同じように分かります。
| 確かめたいこと | 避ける聞き方 | 代わりの聞き方 |
|---|---|---|
| 転勤できるか | ご家族は転勤に反対しませんか | 年に1回ほど他県への転勤がありますが、条件として問題ありませんか |
| 残業に対応できるか | お子さんの送り迎えはどうしていますか | 月20時間ほどの残業がありますが、対応できますか |
| 長く働けそうか | 結婚のご予定はありますか | 3年後にどんな仕事をしていたいですか |
| 通勤できるか | ご実家はどちらですか、どんな家にお住まいですか | 勤務地まで、無理なく通えますか |
| 人柄や考え方 | 尊敬する人物は誰ですか、愛読書は何ですか | 仕事の進め方で影響を受けた経験はありますか |
| 体力が要る仕事か | 持病はありますか | 10kgほどの荷物を運ぶ作業がありますが、支障はありますか |
同じことは、面接の前に記入してもらう応募フォームにも言えます。家族構成や本籍を書く欄は、適性や能力に関係のない事項を含む応募書類に当たるおそれがあるため、仕事に必要な項目だけに絞っておきます。
2026年10月から、求職者へのセクハラ防止が義務に
改正男女雇用機会均等法の第13条により、2026年10月1日から、すべての事業主に求職者へのセクシュアルハラスメントを防ぐ措置が義務づけられました。対象の「求職者」には、採用面接を受ける人のほか、就職説明会やインターンシップ、OB・OG訪問の参加者も含まれます。SNSやオンラインでのやり取りも対象です。
厚生労働省の通達によると、指針が定める措置は11項目で、企業の規模や職場の状況にかかわらず必ず講じなければならないとされています。そのうえで、応募者と社員が個別に連絡を取り、1対1で会う場面は問題が起きやすいとして、面談のルールをあらかじめ決めて周知することを方針に盛り込むよう求めています。体制の例には、面談を複数人で行うことが挙げられています(出典: 厚生労働省「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の施行について」、2026年4月24日)。
面接の運用に落とし込むと、次のような決めごとになります。
- 面接は原則2人以上で行い、1対1になる場合は場所と時間を社内で共有する
- 応募者との連絡は会社のメールアドレスか採用の窓口から行い、個人の連絡先は使わない
- 面接以外で応募者と会う場面(食事など)のルールを決めておく
- 応募者が相談できる窓口を、求人や面接の案内に書いておく
選考の前に社員が候補者と会うカジュアル面談でも、同じ決めごとが役に立ちます。面談ならではの質問の選び方はカジュアル面談の質問の記事で扱っています。
面接官の予定を合わせ、候補者に日時を選んでもらう
面接官を2人以上にすると、日程の調整は一段と手間がかかります。2人の空きが重なる時間を探し、候補日を応募者に送り、返事を待つ。この往復の間に、応募者がほかの会社の面接を先に入れることもあります。面接官全員の空きが重なる時間だけを応募者に見せ、その場で選んでもらう形にすると、調整の手間が減ります。
以下では、その仕組みを持つツールの一例として、SailLab を取り上げます。
SailLab(セイルラボ)

SailLab は、予約ページ・カレンダー連携・リマインドメールを1つにまとめた国産の予約システムです。
- 複数の面接官のカレンダーを見て、全員が空いている時間だけを応募者に表示できる
- 一次面接は面接官を順番に割り当て、二次面接は全員で行う、といった使い分けができる
- 予約フォームの項目を自分で決められるので、仕事に必要な項目だけを聞ける
- 応募者ごとに一度しか使えないリンクを渡せ、確認とリマインドのメールにはZoomやGoogle MeetのURLと日程変更のリンクが入る
できないことも書いておきます。SailLab は面接の評価シートや応募者の管理機能を持つ採用管理システムではありません。連絡の手段もメールだけです。料金は料金ページで確認できます。採用での使い方は採用向けのページで紹介しています。
面接の前に確かめる6つ
- 確かめたい力を3〜5つに絞ったか
- 観点ごとの質問を決め、全員に同じ順で聞く準備ができているか
- 雑談の話題に、家族や出身地が入っていないか
- 応募フォームに、14事項に当たる項目がないか
- 面接を複数人で行う体制と、応募者の相談窓口があるか
- 勤務条件を、聞き方の表のように仕事の条件として聞けるか
面接の当日に応募者が来ない問題は面接の無断欠席を減らす記事、複数の面接官の予定を合わせる方法は複数人の日程調整の記事で紹介しています。
次の面接から予約ページを使ってみる場合は、無料アカウントから作成できます。クレジットカード登録は不要です。
中村 遼 / SailLab 編集部
SailLab 編集部で、営業・採用の日程調整、面接や説明会の受付、士業やコンサルタントの相談の受け方についての記事を担当しています。