SailLab
リソース一覧に戻る

レッスン料の値上げ、音楽の月謝は5年で6%しか上がっていない

19分で読める 田口 奈津子 田口 奈津子 / SailLab 編集部
レッスン料の値上げ、音楽の月謝は5年で6%しか上がっていない

2020年を100とした消費者物価指数で、2025年の物価全体は111.9でした。同じ5年で、音楽教室の講習料(月謝)は106.0、書道教室は107.1、英会話教室は102.0にとどまっています。[1]レッスン料を5年据え置いた教室は、物価で見ると1割ほど値下げしたのと同じことになります。

それでも値上げに踏み切れないのは、生徒が辞めるのが怖いからです。この記事では、まず月謝がどれだけ物価から遅れているかを確かめ、保護者の調査から値上げで辞める人がどのくらいいるのかを見ます。そのうえで上げ幅の決め方、新規と在籍生の分け方、在籍生の料金を変えるときの民法の考え方、お知らせの文面までを順に決めます。最後に、値上げの半年前から当日までの段取りを表にします。

この記事の結論

音楽教室の月謝は2020年から5年で6.0%上がっただけで、物価の11.9%に追いついていません。習い事を辞める理由で費用は上位ではなく、上げ幅は物価や、何人辞めても収入が変わらないかの計算から決められます。新規の生徒から先に上げ、在籍生には適用日を決めて数か月前に書面で知らせ、前払い分は前の料金のまま扱います。

教室の予約や料金の受け取り方については、サービスビジネス向けリソース集にまとめています。この記事は公表されている統計と法令の内容を紹介するもので、個別の契約についての法的な助言ではありません。

月謝は物価に追いついていない

総務省統計局の消費者物価指数(CPI)には、「講習料」という品目があり、音楽・書道・英会話・ダンス・水泳・体育の教室の月謝の動きが毎年公表されています。自分の教室の料金を考える前に、世の中の月謝がどう動いたかを数字で見ておくと、値上げの理由を説明するときにも使えます。

5年で何%上がったか

2020年を100としたときの、2025年の年平均の指数です。[1]

品目2020年2025年
物価全体(総合)100.0111.9
講習料(教室全体)100.0109.2
音楽教室100.0106.0
書道教室100.0107.1
英会話教室100.0102.0
ダンス教室100.0111.8
水泳教室100.0114.3
学習塾(補習教育)100.0112.1

物価全体は5年で11.9%上がりました。教室の月謝は全体で9.2%、音楽教室は6.0%、英会話教室は2.0%です。音楽教室の月謝の上がり方は、物価の半分ほどでした。

教室の種類で差がある

同じ教室でも、水泳(14.3%)は物価を上回り、ダンス(11.8%)も物価とほぼ同じだけ上がっています。プールや広いスタジオを借りる教室は、施設の費用が上がった分をそのまま料金に反映させてきたと考えられます。一方で、自宅や小さな部屋で教える個人の教室が多い音楽や書道は、上がり方が小さくなっています。

この数字は全国の平均で、個々の教室の値上げの事情まではわかりません。それでも、個人で教える講師ほど値上げが遅れやすいことは、数字からも読み取れます。

据え置きは、実質の値下げ

2020年に月謝7,000円だった教室で考えます。物価全体と同じだけ上げていれば、2025年の月謝は約7,830円です(7,000円×111.9÷100)。音楽教室の平均と同じ上がり方なら約7,420円になります(7,000円×106.0÷100)。

7,000円のまま据え置いた教室は、物価で見ると1か月あたり830円分、受け取る価値が減っていることになります。生徒が20人なら、1か月で約1万6,600円、1年で約20万円です。では、この差を埋めようと値上げしたとき、生徒はどのくらい辞めるのでしょうか。保護者への調査から見ていきます。

値上げで生徒は辞めるのか

値上げを迷う講師の多くは、「上げたら辞められるのでは」と考えます。ここでは、子どもの習い事を辞めた理由や、通わせにくさについて保護者に聞いた調査を見ます。辞める理由の中で、費用がどのくらいの重さを持っているかがわかります。

辞める理由の中で、費用は上位ではない

オンラインのイラスト教室を運営するアタムが、子どもが習い事を辞めた経験のある保護者507人に聞いた調査(2025年)では、辞めた理由の1位は「やる気がなくなった」(30.8%)、2位は「指導者と合わない」(12.4%)でした。「経済的な事情」は10項目中の9位です。[2]回答の例には「費用が値上げになると聞いて辞めました」という声もあり、値上げで辞める人がいないわけではありません。ただし、辞める理由の中心は、子どもの気持ちや先生との相性です。入会の前に相性を確かめる体験レッスンの受け方は、体験レッスンの入会率についての記事で整理しています。

費用が負担という声はある

NEXERとスコラプラスが中学生以下の子どもがいる保護者183人に聞いた調査(2025年11月)では、習い事に通わせにくいと感じたことが「ある」のは25.3%でした。その理由(複数回答)は「送迎が大変」61.9%、「費用が高い」57.1%、「時間が合わない」52.4%で、自由回答には「年々月謝が上がっていて負担に感じる」という声もあります。[3]

一方で、hacomonoが小学生の保護者535人に聞いた調査(2025年12月〜2026年1月)では、習い事に「かけてもよい金額」が「実際にかけている金額」を上回る地域が多く、関西では差が12ポイントと最も大きかったと報告されています。[4]予約・決済の仕組みを教室に売る会社の調査なので割り引いて読む必要はありますが、負担だと感じる家庭がある一方で、多くの地域では払ってもよい金額が実際の金額を上回っていた、というのが2つの調査からわかることです。

上げた講師、迷っている講師

値上げした講師、値上げを決めた講師、迷っている講師の声を並べます。

  • 個人のピアノ教室を主宰する藤巻ピアノ音楽教室の安達典子さんは、Xで「一年前から生徒さん方にはその事をお知らせしてきましたが、やはり勇気がいる事です」と書いています。[5]
  • 指導歴30年以上のピアノ講師のみのりさんは、Xで「月謝を値上げしてから凝縮されてきた感じがする。」と書いています。[6]
  • ゼンタングルの認定講師のようこさんは、Xで「PLレッスン料金5年前のまま変えていなかった」と振り返り、「値上げしないとダメだな」と書いています。[7]
  • 自宅で1人の塾を開くハッピー塾長さんは、Xで「月謝を値上げするかすごく迷ってる。」「賃上げがもっと進んだ後の方がいいのかな?」と書いています。[8]
  • ピアノとエレクトーンの仕事をするまりぃさんは、Xで「月謝も値上げしないで頑張って来たけど」と書き、値上げの代わりに休みを確保することを考えています。[9]

実際に上げた2人に共通するのは、早めに伝えていることと、上げた後の教室の変化を前向きに受け止めていることです。迷っている講師の迷いは、物価や賃金の動きを待つかどうかにあります。CPIの数字を見る限り、待っている間にも月謝の実質の価値は下がっていきます。辞める人がゼロにはならない以上、上げ幅は感覚ではなく計算で決めます。

上げ幅を決める3つの計算

上げ幅の決め方は1つではありません。ここでは、物価から出す方法、1時間あたりの単価から出す方法、何人まで辞めても収入が変わらないかから出す方法の3つを示します。3つの計算で出た金額を並べて、自分の教室で説明しやすいものを選ぶのが進め方です。

物価から出す

最後に料金を決めた年と、いまの物価指数を比べる方法です。2020年に決めた料金なら、物価全体の111.9か、教室の種類の指数(音楽なら106.0)を掛けます。7,000円なら物価全体で約7,830円、音楽教室の平均で約7,420円です。

物価から出した金額は、「この5年で物価が11.9%上がりました」と、誰でも確かめられる数字で説明できるのが強みです。ただし、この方法は料金を前に決めたときの水準が適正だったことを前提にしています。最初から安すぎた料金は、物価を掛けても安いままです。

1時間あたりの単価から出す

レッスンの時間だけでなく、準備や連絡、移動にかかる時間まで含めて、1時間あたりいくらになっているかを出します。たとえば、月4回・1回45分で月謝8,000円の場合、1回あたりは2,000円です。1回のために準備や連絡で15分使っているなら、1時間あたりの収入は2,000円になります。

月謝(月4回・45分)1回あたり準備を含めた1時間あたり
8,000円2,000円2,000円
9,000円2,250円2,250円
10,000円2,500円2,500円

ここから、教室の家賃や楽器の調律、教材、発表会の準備などの経費が引かれます。目標にしたい1時間あたりの金額を先に決め、そこから月謝を逆算すると、物価の計算とは別の根拠になります。

何人まで辞めても収入が変わらないか

辞める人がいたときの収入を先に計算しておくと、上げ幅を決める不安が小さくなります。生徒20人、月謝7,000円の教室で、8,000円に上げた場合です。

生徒の数月謝7,000円のまま8,000円に上げた後
20人140,000円160,000円
18人(2人退会)—144,000円
17人(3人退会)—136,000円

2人辞めても、1か月の収入は値上げ前より4,000円多くなります。収入が同じになるのは17.5人のときで、20人のうち2人までの退会なら、値上げ前より収入は減りません。しかも、生徒が減った分だけ、レッスンの時間は空きます。空いた時間を新しい生徒の受け入れに回せば、収入はさらに増えます。

この計算は、新しい生徒が入らない場合の最も厳しい見方です。何人までなら辞めても大丈夫かを知っていれば、値上げの判断は落ち着いてできます。金額が決まったら、次は誰に、いつから新しい料金を適用するかです。

誰に、いつから上げるか

値上げの対象と時期の決め方には、大きく分けて3つの形があります。新しい生徒から先に上げる、在籍生も含めて全員同時に上げる、段階的に上げるの3つです。教室の事情によって向き不向きがあります。

新しい生徒から先に上げる

これから入る生徒には、ホームページや募集の案内に載せる料金を変えるだけで新しい料金を適用できます。まだ契約していない人に、改定前の料金を約束しているわけではないからです。

練馬区と新座市でヴァイオリンとチェロの教室を開くArco音楽教室は、自分の教室の値上げで、新しい生徒にだけ新しい料金を適用し、以前からの生徒はそれまでの料金のままにしたと書いています。新しい生徒は値上げされたと感じず、在籍生にはお得感が残るという理由です。[10]ただ、在籍生の料金をいつまでも据え置くと、同じレッスンで2つの料金が続くことになります。在籍生にもいつ適用するかを、最初から決めておくほうが説明は簡単です。

在籍生には猶予を置く

在籍生への適用日は、新年度や長期休みの後など、区切りのよい月に合わせると覚えてもらいやすくなります。お知らせから適用までの期間は、上位の解説記事でも1〜2か月から半年以上まで幅があります。先ほどの安達さんは、1年前から伝えていました。

目安にしたいのは、家庭が続けるかどうかを考え、ほかの教室と比べる時間を取れるだけの期間です。月謝の引き落としや手渡しの直後に知らせると「払ったばかりなのに」という反応になりやすいので、支払いの前に余裕を持って伝えます。

前払いの分は前の料金のまま

年払いや回数分の前払いを受けている教室では、すでに支払いを受けた分は、前の料金のまま消化してもらいます。前払いの分まで新しい料金に合わせて差額を求めたり、回数を減らしたりすると、すでに結んだ約束を後から変えることになります。

2か月を超え、合計5万円を超える語学教室や学習塾、家庭教師の契約は、特定商取引法でいう「特定継続的役務」として、書面の交付や中途解約のルールがあります。対象になる教室は、特定継続的役務についての記事も確かめてください。では、在籍生の料金を変えることについて、民法はどう考えているのでしょうか。

在籍生の料金を変えるときのルール

月謝で続けている在籍生との関係は、毎月レッスンをするという契約です。その途中で料金を変えるとき、何が必要になるのか。法務省の説明資料と民法の条文から、考え方の基本だけを整理します。

原則は、一人ずつの同意

法務省の説明資料は、民法の原則として、契約の内容を後から変えるには、個別に相手方の承諾を得ることが必要だと説明しています。[11]月謝の金額は契約の内容そのものなので、在籍生の料金を変えるには、本来は一人ずつの同意が要るということです。お知らせを配っただけで、同意したことにはなりません。

実際の教室では、お知らせを受け取ったうえで新しい料金を払い続けることが、同意の意思表示になっていることが多いでしょう。だからこそ、続けるかどうかを選べる期間を置き、辞める場合に不利益がないようにしておくことが大切になります。

規約で受けている教室の場合

2020年4月に施行された改正民法は、「定型約款」についての規定を設けました。不特定多数の相手と、内容が画一的であることが双方にとって合理的な取引をするときに、あらかじめ用意した条項の全体を「定型約款」と呼びます(第548条の2)。[12]法務省の資料は、鉄道やバスの運送約款、電気・ガスの供給約款、インターネットサイトの利用規約などを例に挙げています。[11]

定型約款の変更については、第548条の4が、次のどちらかにあたる場合には、個別に合意しなくても変更後の条項に合意があったものとみなすと定めています。[12]

  • 変更が、相手方の一般の利益に適合するとき
  • 変更が契約の目的に反せず、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更することがある旨の定めの有無とその内容、その他の事情に照らして合理的なとき

そのうえで、変更の効力が生じる時期を決め、変更すること、変更後の内容、効力の発生時期を、インターネットなどの適切な方法で周知しなければなりません。2つ目の場合は、効力の発生時期までに周知しなければ、変更の効力は生じません。法務省の資料は、変更の例として「電気料金値上げによる電気供給約款の変更」を挙げ、考慮される事情として、相手方に与える不利益の内容や程度、不利益を軽くする措置の内容を示しています。[11]

個人の教室の入会規約が定型約款にあたるかどうかは、生徒ごとに条件を話し合って決めているかなど、教室の実態によって変わり、ここで一律には言えません。判断に迷う場合は、弁護士や消費生活センターなどに確認してください。

実務で押さえておく3つのこと

定型約款にあたるかどうかにかかわらず、次の3つを押さえておくと、在籍生との間で行き違いが起きにくくなります。

  1. 規約に、料金を改定することがあると書いておく。改定するときは事前に知らせることも書きます。これから入会する生徒の規約から入れておきます。
  2. 適用日を決め、その前に、変更の内容と日付を書面とホームページで知らせる。口頭だけで済ませず、いつ何を知らせたかが残る形にします。
  3. 新しい料金で続けたくない生徒が、違約金なく辞められるようにする。前払いの分は前の料金のまま消化してもらうか、残りを返金します。

この3つは、法務省の資料が「不利益の軽減措置」として挙げている考え方にも沿っています。ルールの土台が整ったら、お知らせの中身を作ります。

お知らせの書き方と渡し方

お知らせは、値上げを受け入れてもらうための説明であると同時に、いつ、何を知らせたかの記録でもあります。必要な項目を落とさないことと、受け取った人が質問しやすいことの2つを意識して作ります。

入れる7つの項目

項目書く内容
1. 感謝日ごろ通ってくれていることへのお礼
2. 理由何がどれだけ上がったか。物価や会場費、教材費など、確かめられる数字で
3. 新旧の金額コースごとに、改定前と改定後を並べる
4. 適用日何月分から、または何月何日のレッスンから
5. 前払いの扱いすでに払った分は前の料金のまま使えること
6. 辞める・変える場合退会やコース変更の連絡の期限と、違約金がないこと
7. 問い合わせ先質問や相談を受ける方法と、面談もできること

上位の記事の文例の多くは、1〜4までで終わっています。5と6を書いておくと、在籍生が不安に思う点に先に答えられ、前の章のルールにも沿った内容になります。

文例

〔 〕の部分を教室に合わせて書き換えて使えます。

〔生徒・保護者〕の皆さまへ

いつも〔教室名〕のレッスンに通ってくださり、心より感謝しております。

〔2020〕年に現在の料金を決めてから、物価は〔11.9〕%上がりました(総務省「消費者物価指数」)。教室の〔会場費・調律費・教材費〕も上がっており、今の料金ではレッスンの質を保つことが難しくなりました。そのため、料金を次のとおり改定いたします。

【改定後の料金】
〔月4回・45分〕 〔8,000〕円 → 〔9,000〕円

【適用日】
〔2027年4月〕分から(〔2027年3月〕分までは現在の料金です)

【前払いの分について】
すでにお支払いいただいた〔回数券・年払い〕の分は、現在の料金のままご利用いただけます。

【続けるかどうかについて】
新しい料金で続けるかどうかは、〔2027年2月末〕までにお知らせください。退会やコースの変更に、違約金はかかりません。

ご不明な点やご相談があれば、〔レッスンの前後・メール〕でいつでもお声がけください。お話しする時間を取ることもできます。

〔2026年10月〕 〔教室名・講師名〕

理由の段落は、物価の数字だけで終わらせず、教室で何が上がったかを1つか2つ具体的に書きます。数字は自分で確かめたものだけを使います。

渡し方と、質問への答え方

上位の記事の多くは、書面で渡し、口頭で一言添えることを勧めています。LINEやメールは記録が残る反面、長い文章が読まれにくく、そっけなく受け取られることもあります。書面を正式なお知らせにし、メールやLINEは「お知らせをお渡ししました」という連絡に使うと、両方の良さを生かせます。

質問されやすいのは、「いくら上がるのか」「いつからか」「前払いの分はどうなるのか」「辞めるならいつまでに言えばよいか」の4つです。どれも文例に答えがあるので、聞かれたら書面の該当箇所を一緒に見ながら答えます。その場で値引きを約束しないことも決めておきます。一人に例外を作ると、全員に説明した金額の意味がなくなるからです。値上げのお知らせができたら、もう一つ考えておきたいのが、料金の受け取り方そのものです。

値上げを機に料金の形を見直す

値上げは、金額だけでなく料金の形を見直す機会でもあります。月謝のまま上げるのか、1回ごとの料金にするのか、回数分を前払いしてもらうのか。形によって、振替や欠席の扱い、収入の安定のしかたが変わります。

月謝・1回ごと・回数分の前払いの違い

形向いている教室気をつけること
月謝決まった曜日に毎週通う子どもの教室休んだ回の振替のルールが要る
1回ごと大人の生徒、通う間隔がまちまちな教室収入が月によって変わる
回数分の前払い月に何回か、都合のよい日に通う教室有効期限と、値上げ前に買った分の扱いを決める

先ほどのArco音楽教室は、子育てと並行して予定が立てにくくなったことから月謝制をやめ、1回ごとのレッスンに一本化しました。料金は、月2回で8,000円(1回あたり4,000円)だった月謝に対し、1回5,000円です。[10]月謝より1回の料金を高くするのは、決まった枠を毎月押さえない分の差と考えられます。

1回ごとに予約して払う形

1回ごとや回数分の前払いに切り替えると、生徒はレッスンの日を自分で選び、そのつど支払います。料金を変えたときも、変更後に入った予約から新しい料金になるので、月謝のように全員の切り替え日をそろえる必要がありません。

この形で教室を回すには、次のことができる仕組みが必要です。

  • 空いている日時だけを見せ、生徒が自分で予約できる
  • レッスンの長さごとに料金を分けて設定できる
  • 予約と同時に料金を払ってもらえるか、前払いの残りから引ける
  • 前日に自動でお知らせが届く

SailLab(セイルラボ)

以下では、こうした受け方ができるツールの一例として、SailLab を取り上げます。

ピアノの個人レッスンを30分・45分・60分から選ぶ予約画面で、それぞれに新しい料金が表示されている

SailLab は、予約ページ・カレンダー連携・事前決済・リマインドメールを1つにまとめた国産の予約システムです。

  • レッスンの長さや内容ごとに料金を分け、生徒は空いている日時から選んで予約します
  • 予約したその場でカードで払ってもらえます。入金は自分のStripeアカウントに直接入ります
  • 料金を変えても、すでに入っている予約の金額は変わりません。変更後に入った予約から新しい料金になります
  • 回数券のように使える前払いのポイントを販売でき、ポイントに有効期限を付けるかどうかも選べます。確認とリマインドのメールは自動で送ります

ポイントを使う場合、1回のレッスンに必要なポイント数を後から増やすと、すでに買われたポイントで受けられる回数が減ります。ポイントで値上げするときは、パックの価格を変えて、1回に使うポイント数は変えないほうが、前払いの分を前の料金のまま扱えます。教室での使い方は教室・スクール向けのページで紹介しています。カード決済にはStripeの手数料3.6%がかかり、SailLab の手数料はプランによって0%または3%です。料金は料金ページで確認できます。

できないこと

できないことも書いておきます。毎月決まった日に月謝を自動で引き落とす機能はありません。毎週同じ曜日の枠を生徒ごとに押さえる定期予約にも対応していないので、月謝制のまま毎週の枠で教える教室には向きません。

通知はメールだけで、LINEには対応していません。紙の月謝袋や口座振替で受け取っている教室は、その仕組みのままお知らせの文面と段取りだけを取り入れてください。最後に、値上げの半年前から当日までの段取りを表にまとめます。

値上げの半年前からの段取り

時期やること
6か月前3つの計算で金額を決める。規約に改定の条項があるか確かめる
5か月前新しい生徒の募集料金を変える。ホームページと予約ページの料金を改める
4か月前在籍生にお知らせを書面で渡し、口頭で一言添える
4〜2か月前質問や面談に答える。続けるかどうかの返事を受ける
1か月前新しい料金の適用を、もう一度短く知らせる
適用日新しい料金に切り替える。前払いの分は前の料金のまま消化してもらう
適用後続けてくれている生徒にお礼を伝える。辞めた人数を、計算しておいた数と比べる

表の期間は一つの目安です。大切なのは、金額を計算で決め、適用日を先に決め、続けるかどうかを選べる時間を在籍生に渡すことです。値上げの後は、休みや欠席の扱いも決め直す時期です。レッスンのキャンセル規定についての記事も合わせて見直しておくと、料金と規定の両方を一度に整えられます。新しい料金で予約ページを作ってみる場合は、無料アカウントから作成できます。クレジットカード登録は不要です。

参考資料

  1. 総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)平均」時系列データ(品目別価格指数・全国・年平均)、2026年1月23日公表(2026年10月8日確認)
  2. 株式会社アタム「【子どもが習い事を辞める理由ランキング】パパママ507人アンケート調査」PR TIMES、2025年6月18日
  3. 株式会社NEXER・Schola+(スコラプラス)「【調査レポート】保護者4人に1人以上が感じる“通いにくさ”と“体験格差”」2025年12月9日、有効回答183人
  4. Fitness Business「【調査レポート公開】「習い事費用の意識・実態調査2026」値上げの余地とエリア別傾向を分析|hacomono」2026年6月5日、有効回答535人
  5. 藤巻ピアノ音楽教室 noriko先生(@pianofujimaki)Xの投稿、2019年10月4日
  6. みのり|教室を整えるピアノ講師(@mlnori12)Xの投稿、2026年4月27日
  7. ようこ(@unya_63)Xの投稿、2025年12月16日
  8. ハッピー塾長(@happyjukucho)Xの投稿、2024年11月28日
  9. まりぃ(@marymarii_vn)Xの投稿、2025年1月3日
  10. Arco音楽教室「ピアノ教室の月謝を値上げしたい時どうする?私がレッスン代を改定した時のお知らせ方法を解説」(2026年10月8日確認)
  11. 法務省「約款(定型約款)に関する規定の新設」民法(債権関係)改正の説明資料(2026年10月8日確認)
  12. e-Gov法令検索「民法」第548条の2、第548条の4(2026年10月8日確認)
田口 奈津子

田口 奈津子 / SailLab 編集部

SailLab 編集部で、予約受付・事前決済・無断キャンセル対策や、教室とレッスンの運営など、対面とオンラインでサービスを提供する事業者向けの記事を担当しています。

シェア X / Twitter LinkedIn

予約受付を、SailLabで自動化する

カレンダー連携・自動リマインド・事前決済までを1つの予約ページに。無料プランは登録3分、クレジットカード登録は不要です。