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フリーランスの日本語教師は、どこで教えるといちばん手元に残るのか

10分で読める 岡田 沙織 岡田 沙織 / SailLab 編集部
フリーランスの日本語教師は、どこで教えるといちばん手元に残るのか

「1コマ2,000円を1日5コマ、週5日で月20万円」。フリーランスの日本語教師について調べると、よく目にする計算です。ただ、この計算には手数料が入っていません。同じ月100コマをカフェトークで教えると、手元に残るのは12万円です。italkiの単発レッスンなら15万8,000円になります。

この記事は、日本語学校の非常勤やオンラインのプラットフォームで教えていて、独立を考えている日本語教師の方に向けたものです。先に結論を言うと、フリーランスの手取りを決めるのは、手数料率よりも「プラットフォームの外で見つけた生徒の数」です。各プラットフォームが公開している料率と規約、文部科学省の資料をもとに、教える場所ごとの手取りから順に見ていきます。

この記事の結論

フリーランスで個人レッスンをするのに、登録日本語教員の資格は必要ありません。資格が必要なのは、認定日本語教育機関で教える場合です。手取りは教える場所で決まり、1回2,500円のレッスンなら、手元に残るのはカフェトークで1,500円、italkiの単発で1,975円、自分の予約ページで約2,340〜2,410円です。ただし、プラットフォームで出会った生徒は、規約上その外に移せません。

個人で教える講師の予約まわりの記事は、個人・小規模チーム向けリソース集にまとめています。

1回2,500円のレッスン、教える場所ごとに手元に残る額

同じ2,500円のレッスンでも、手元に残る額は1,500円から約2,410円まで開きます。差を生むのは、プラットフォームごとの手数料の取り方です。生徒が払う額を2,500円にそろえて計算すると、次のようになります。

教える場所1回の手取り決まり方
カフェトーク1,500円講師の取り分60%
italki 単発1,975円手数料21%
italki 10回パッケージ2,075円手数料17%
italki 15・20回パッケージ2,125円手数料15%
Preply1,675〜2,050円累計時間で33%〜18%
自分の予約ページ約2,335〜2,410円カード決済3.6%と予約システムの手数料0〜3%

italkiの手数料は、レッスンの売り方で変わります。単発は21%、5回パッケージは19%、10回は17%、15回と20回は15%、グループクラスは30%です(出典: italki ヘルプ「italkiはどのように手数料を請求しますか?」、2026年9月26日確認、対象はitalkiのみ)。同じ生徒でも、単発より15回パッケージで売るほうが1回あたり150円多く残ります。

カフェトークは、講師が設定した料金の60%を講師に支払います。60%は下限で、別に定める「マージンレート」がこれを上回る場合もあります。この60%は消費税相当額を含む金額です(出典: カフェトーク 講師規約 第11条3項、2026年6月18日改定版、対象はカフェトークのみ)。

体験レッスンの扱いは、プラットフォームによって正反対です。italkiは体験レッスンに手数料をかけません。一方、Preplyは新しい生徒との体験レッスンの料金を全額受け取ります。Preplyの料率の段階と、教え始めた月の手取りはPreplyの手数料の記事で計算しています。

週1回の生徒が5人いる場合

たとえば、週1回・1回2,500円の生徒が5人いるとします。月20回、生徒が払う合計は5万円です。

教える場所月に残る額自分の予約ページとの差
カフェトーク30,000円16,700〜18,200円
italki 単発39,500円7,200〜8,700円
italki 15回パッケージ42,500円4,200〜5,700円
自分の予約ページ46,700〜48,200円―

自分の予約ページの額からは、予約システムの月額料金がさらに引かれます。それを差し引いても、カフェトークとの差は生徒5人で月1万円を大きく超えます。

比較のために、日本語学校の数字も挙げておきます。文化庁の調査では、1コマ単位で非常勤講師に報酬を払う法務省告示校で最も多かった単価は1,000〜2,000円未満(973人)、次が2,000〜3,000円未満(757人)でした(出典: 文化庁「令和2年度日本語教師の資格創設に係る状況調査 結果概要」、2020年10〜12月調査、対象は日本語教師を雇用する機関)。学校は生徒と教材を用意してくれるので単純には比べられませんが、1回2,500円が高すぎる値付けではないことは分かります。

プラットフォームで出会った生徒は、外に移せない

この差額を見れば、いまの生徒に自分の予約ページへ移ってもらおうと考えるのは自然です。ただ、主要なプラットフォームはどれも規約でそれを禁じています。

プラットフォーム規約の定め
italkiitalkiの外での支払いを持ちかけたり、求めたり、受け取ったりしてはならない
カフェトークサービスで知り合った受講者に、サービスを通さずレッスンを申し込んではならない。講師登録の抹消後も同じ
PreplyPreplyの外での支払いを持ちかけることは、生徒をブロックする理由として挙げられている

italkiは講師ポリシー2.2で、手数料を避ける行為として「italkiの外での支払いを提案・要求・受領すること」を挙げています(出典: italki Teacher Policy 2.2「No Circumvention of Platform Service Fees」、2026年1月30日発効版)。カフェトークの講師規約第13条4項は、講師をやめたあともこの制限が続くと定めています。

つまり、いまの生徒の手取りは、パッケージでの販売や料金の見直しで少し動かせるだけです。大きく動かせるのはプラットフォームの外で見つけた生徒の割合です。

外の入口になるのは、知人や元同僚からの紹介、SNSやブログでの発信、企業研修や地域の教室とのつながりです。プラットフォームで教えている講師も、紹介が増えてきた様子をnoteに書いています。

「既存の生徒さんが、家族や友だちにわたしのことを薦めてくれる」
(ゆうゆう「オンライン日本語レッスン 丨 どうやって集客する?」note、2024年6月)

紹介で来た人が、そのプラットフォームの利用者でもあることはあります。その場合は規約に照らして判断し、迷うときは運営に確認してください。

登録日本語教員は、個人で教えるなら必須ではない

2024年4月に、日本語教師の国家資格「登録日本語教員」が始まりました。ただ、この資格が必要になるのは、認定日本語教育機関で教える場合です。文部科学省は、それ以外の機関では「登録日本語教員の資格を取得しなくても、日本語指導を行うことが可能」と明記しています(出典: 文部科学省「登録日本語教員の登録等について(新たに日本語教員になろうとする方向け)」、2024年9月、対象は日本の制度)。

認定日本語教育機関は、留学生が学ぶ日本語学校などが文部科学大臣の認定を受けたものです。すでに教えている人には、2029年3月31日まで資格なしで認定機関に勤められる経過措置があります。個人で生徒を持つフリーランスには、どちらも直接は関係しません。

ただし同じ資料は、資格が知識と技能を示す手段になるとして、認定機関以外で教える人にも活用を勧めています。企業研修や日本語学校の仕事と組み合わせたいなら、取っておく意味はあります。

もう1つ、知っておきたいことがあります。フリーランスの日本語教師は、公的な統計にほとんど表れません。文部科学省の日本語教育実態調査は機関に調査票を送るもので、「個人を対象としたものではない」と断っています(出典: 文部科学省「令和5年度 日本語教育実態調査」、対象は日本語教育を行う機関・施設)。フリーランスの平均年収をうたう数字を見かけたら、どこから来た数字かを確かめてください。

外で見つけた生徒を、自分で受ける準備

プラットフォームは、予約、支払い、時差の計算、レッスンのURLまで引き受けてくれていました。外で見つけた生徒を自分で受けるときは、次の5つを用意します。

  1. 生徒のタイムゾーンで空き時間を見せる。時差の計算を生徒に任せると、思っていたのと違う時間に予約が入ることがあります
  2. 料金を円で決め、予約の時点で払ってもらう。カード決済の手数料は3.6%で、通貨の換算が必要な場合は2%が加わります(Stripe 料金体系、2026年9月26日確認)。円で請求すれば、この2%は講師側にはかかりません
  3. キャンセルの期限を決めて、予約ページに書く。「24時間前までであれば無料」のように、具体的に書きます。書き方はキャンセルポリシーの記事を参考にしてください
  4. 何回分かをまとめて前払いできるようにする。italkiのパッケージにあたるものです。選び方は回数券アプリの記事で比べています
  5. ビデオ会議のURLとリマインドを自動で送る。海外の生徒ほど、日時の確認メールが頼りになります

「毎週火曜の19時」のように同じ枠を自動で押さえ続ける機能は、ツールによってあるものとないものがあります。週1回の生徒が中心なら、選ぶ前に確かめておきたい点です。

以下では、この5つを満たすツールの一例として、SailLab を取り上げます。

SailLab(セイルラボ)

SailLabの予約ページで、生徒が日本語レッスンの料金2,500円を予約と同時に支払う画面

SailLab は、予約ページ・カレンダー連携・事前決済・ビデオ会議URLの自動発行を1つにまとめた国産の予約システムです。

  • 生徒は自分のタイムゾーンで空き時間を見て予約でき、講師には自分の時間で表示される
  • 料金は円・米ドル・ユーロ・英ポンドから選び、予約の時点でカード決済を受け付ける
  • キャンセルを受け付ける期限を設定でき、生徒はメールのリンクから自分で日時の変更やキャンセルができる
  • 前払いのポイントを販売できる。1回200ポイントにすれば、回数券と同じように使える
  • Zoom・Google Meet・Microsoft TeamsのURLを予約ごとに発行し、確認とリマインドのメールを自動で送る

できないことも書いておきます。SailLab には、毎週同じ枠を自動で繰り返し予約する機能がありません。週1回の生徒にも、毎回予約してもらう形になります。返金は、講師が決済ごとに手動で行います。

決済には、Stripeの決済手数料3.6%がかかります。SailLab の手数料はプランによって0%または3%で、月額料金とあわせて料金ページで確認できます。紹介やSNSから自分でも生徒を見つけている日本語教師に向いたツールです。講師や教室での使い方は教育向けのページにまとめています。

独立までの3か月の組み立て方

いま教えている場所をやめる必要はありません。プラットフォームを新しい生徒との出会いの場として残し、外で見つけた生徒の割合を少しずつ増やしていく順番がおすすめです。

  1. 1か月目:生徒を2つに分けて書き出す。プラットフォームで出会った生徒と、自分で見つけた生徒です。前者はそのまま、後者だけを移す対象にします。この記事の表で、いまの手取りも計算しておきます
  2. 2か月目:自分の予約ページを1つ作る。料金とキャンセルの期限を載せ、紹介やSNSから来た新しい生徒をそこで受けます。italkiで教えているなら、パッケージでの販売も見直します
  3. 3か月目:外の生徒の割合を確かめる。月の手取りのうち、自分の予約ページ経由がどれだけかを計算します。そのうえで、プラットフォームで受ける人数や料金を決め直します

この記事の数字について

計算の前提と、確認した日付です。

  • italkiの手数料は、ヘルプページを2026年9月26日にブラウザで確認したものです。italkiの講師ポリシーは、手数料が講師の実績によっても変わりうるとしています。引き出し方法ごとの手数料は含めていません
  • カフェトークの60%は講師規約第11条3項の下限で、消費税相当額を含みます。実際の取り分はマージンレートによって上がることがあります
  • Preplyの範囲は、手数料33%と18%で計算しています。体験レッスンは含めていません
  • 自分の予約ページの額は、カード決済3.6%と予約システムの手数料0〜3%で計算しました。日本に住み、円で請求・受け取りをする場合です。月額料金は含めていません
  • 料率と規約は変わります。判断する前に、各プラットフォームの最新のヘルプと規約を確認してください

ほかのプラットフォームの手数料は、ココナラの手数料の記事やタイムチケットの記事でも計算しています。海外の生徒向けに日本語と英語の予約ページを用意する方法は、英語対応の予約ページの記事にまとめています。

自分で見つけた生徒のための予約ページを1つ作ってみる場合は、無料アカウントから作成できます。クレジットカード登録は不要です。

岡田 沙織

岡田 沙織 / SailLab 編集部

SailLab 編集部で、ひとりで事業を営む方や小さなチームに向けて、予約と日程調整のしくみづくりや、Googleカレンダー・Excelなど手元のツールの使い方とその限界について書いています。

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