「個人で教えるのに、何か届出は要るのか」。オンラインで家庭教師や英語のレッスンを始めようとした人が、最初に調べることの1つです。答えは、教えること自体には資格も許可も要りません。
ただ、生徒が増えて「10回分まとめて」「3か月コース」と売り始めたところで、法律の線が1本出てきます。受験対策や語学のレッスンを長く続ける契約には、特定商取引法の「特定継続的役務提供」のルールがかかる場合があり、オンラインでも対象です。この記事では、何を教えるとどの区分になるか、その境目、境目を踏まえたコースの組み方、最初の生徒を迎える準備の順に整理します。
この記事の結論
個人でオンライン家庭教師や語学レッスンを始めるのに、教えること自体の資格や許可は要りません。気をつけるのはまとめ売りです。受験・学校の補習の指導と語学レッスンは、2か月を超え5万円を超える契約だと特定継続的役務に当たり、オンラインでも対象です。有効期限のない回数券は、期間の基準を必ず超えるとみなされます。
個人で教える講師向けの記事は、個人・小規模チーム向けリソース集にまとめています。
何を教えるかで、法律の区分が決まる
特定商取引法は、長く続く契約でトラブルが起きやすいサービスを7つ定めています。教える仕事のうち対象になるのは、家庭教師、語学教室、学習塾、パソコン教室の4つです。オンラインで個人で教える場合、どれに当たるかは教える中身で決まります。
| 教える内容 | 区分 |
|---|---|
| 中学・高校などの受験対策、学校の授業の補習 | 家庭教師 |
| 英会話、英検など資格試験のための語学 | 語学教室 |
| パソコンの操作 | パソコン教室 |
| 楽器、絵、趣味、大学の授業の補習、小学校・幼稚園の受験対策 | 7つの対象に含まれない |
消費者庁のQ&Aは、これらのサービスについて「ファックスや電話、インターネット、郵便等を用いて行われる場合も広く含まれます」としています。テレビ電話による学習指導も、受験対策や補習にあたれば「家庭教師」に当たると明記されています(出典: 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供Q&A」、2026年9月26日確認、対象は日本の制度)。オンラインだから対象外、ということにはなりません。
なお、受験や学校の補習のための語学の指導は「語学教室」から除かれ、「家庭教師」などに当たる可能性があります。どちらに当たるかで中途解約のときの上限額が変わるため、コースの説明にどちらの内容かを書いておきます。4つのサービスごとの上限額と返金の計算例は、特定継続的役務の記事にまとめています。
2か月・5万円を超えると、書面とクーリング・オフが必要になる
家庭教師・語学教室・パソコン教室は、契約期間が2か月を超え、かつ支払う総額が5万円を超えると対象になります。総額には、受講料のほか入会金や教材費も含まれます。どちらか一方だけなら対象外です。
対象になると、事業者には契約前と契約時の2回、決められた内容の書面を渡す義務が生じます。生徒の側は、契約書を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフでき、その後もいつでも中途解約できます。中途解約のときに請求できる額には、次の上限があります。
| 区分 | 始まる前の解約 | 始まった後の解約 |
|---|---|---|
| 家庭教師 | 2万円まで | 受講済みの分+5万円か1か月分の低い方 |
| 語学教室 | 1万5千円まで | 受講済みの分+5万円か残額の20%の低い方 |
| パソコン教室 | 1万5千円まで | 受講済みの分+5万円か残額の20%の低い方 |
東京都によると、都内の消費生活センターには家庭教師の契約に関する相談が増えています。オンラインの家庭教師で、授業料の安さを入口に高額な教材の購入を求められた相談事例も紹介されています(出典: 東京都 東京くらしWEB「家庭教師の契約に関するトラブルに注意」、令和8年5月28日)。個人で教える人がこうした業者と同じ目で見られないためにも、境目は自分から確かめておく価値があります。
回数券とコースは、境目を見て組む
見落としやすいのが回数券です。消費者庁のQ&Aは、回数券のような「チケット制」も対象とし、有効期限のないものは「役務提供期間は常に基準期間を超える」とみなすとしています。有効期限を付けた場合は、その期限が契約期間として扱われます。
たとえば、1回4,000円のレッスンを回数券にする場合は、次のようになります。
| 売り方 | 総額 | 判定 |
|---|---|---|
| 10回券・有効期限2か月 | 4万円 | 対象外 |
| 10回券・有効期限なし | 4万円 | 対象外。5万円以下 |
| 20回券・有効期限2か月 | 8万円 | 対象外。2か月以内 |
| 20回券・有効期限なし | 8万円 | 対象 |
個人で始めるなら、選択肢は2つです。1つは、5万円以下、または有効期限2か月以内のまとめ売りにとどめること。書面を用意する手間なく、まとめて前払いしてもらえます。もう1つは、5万円を超える長いコースを売ると決め、書面と解約のルールを整えることです。後者を選ぶなら、書面の内容は専門家に確認してから始めてください。
回数券そのものを、紙とアプリのどちらで管理するかは回数券アプリの記事、キャンセル規定の書き方はキャンセルポリシーの記事で扱っています。
最初の生徒を迎える準備
オンラインで個人で教える場合に、最初の生徒の前に整えておくことは次の5つです。
- 体験レッスンの予約ページ。生徒や保護者が空いている時間から選べるようにする
- 料金を予約の時点で受け取る方法。1回ごとのカード決済か、回数分の前払い
- 回数券の有効期限。上の境目を踏まえて、期限と総額を決める
- 日程変更とキャンセルの期限。何時間前まで変更できるかを決め、予約ページで守らせる
- ビデオ会議のURLとリマインド。予約ごとに自動で送る
以下では、この5つを満たすツールの一例として、SailLab を取り上げます。
SailLab(セイルラボ)

SailLab は、予約ページ・カレンダー連携・事前決済・ビデオ会議URLの発行を1つにまとめた国産の予約システムです。
- 体験レッスンと通常のレッスンで、別々の予約ページを作れる
- 予約の時点でカード決済を受け付けられる
- 回数分を前払いのポイントとして販売でき、ポイントの有効期限を日数や月数で設定できる。1回200ポイントにすれば回数券と同じように使える
- キャンセルや日程変更の期限を設定でき、生徒はメールのリンクから自分で変更できる
- Zoom・Google Meet・Microsoft TeamsのURLを予約ごとに発行し、確認とリマインドのメールを自動で送る
できないことも書いておきます。毎週同じ枠を自動で繰り返し予約する機能と、月謝を毎月自動で請求する機能はありません。特定商取引法の書面も作成しません。どの区分に当たるかの判断と書面の用意は、教える人が行う必要があります。料金は料金ページで確認できます。
始めるまでの順番
- 教える内容の区分を確かめる。受験・補習か、語学か、どちらでもないかを決めます
- 体験レッスンと、1回ごとの料金を決める。最初は単発で始めても構いません
- まとめ売りを始めるときに、期間と総額を境目と照らす。5万円以下か2か月以内に収めるか、書面を整えて超えるかを決めます
- 予約ページを公開し、紹介や発信から最初の生徒を迎える。
1回ごとに受ける場合の料金の考え方は単発レッスンの記事、日本語を教える人はフリーランスの日本語教師の記事もあわせてご覧ください。講師や教室向けの使い方は教育向けのページで紹介しています。
体験レッスンの予約ページを1つ作ってみる場合は、無料アカウントから作成できます。クレジットカード登録は不要です。
岡田 沙織 / SailLab 編集部
SailLab 編集部で、ひとりで事業を営む方や小さなチームに向けて、予約と日程調整のしくみづくりや、Googleカレンダー・Excelなど手元のツールの使い方とその限界について書いています。